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南麻布の大通りから少し入ったところにそのBARは佇む。大きな看板を掲げず、裏路地にひっそり佇む“ENGINE”。その名は、人々の原動力になりたい、また人が出会い、語り合い、何かを発見できる場所でありたいという想いからつけられた。 マジックルームエレベーターの扉が開くと、すぐにスタッフの元気の良い挨拶が響く。足を踏み入れると、活気のあるウォールペインティングが目に飛び込んでくる。手掛けたのは、スケールの大きな作品が特徴的なアーティストの大野智史さん。力強いラインは、壁や天井、床にまで伸び、影と一体になりながら、ユニークな表情を見せる。

もうひとつ、見逃せないのはテラスにあるグリーン。デザインユニット「生意気」によるもので、現在は第一段階の制作が終了しているが、植物が成長するにしたがって変化するので、訪れるたびに違う表情を見せる生きたアートが楽しめる。

ここは、清澄白河にあったギャラリー「MAGIC ROOM?」が移転して、カフェとして復活したスポット。オーナーは、3階のギャラリー「magical, ARTROOM」も経営しているので、アートとの繋がりも親密。頻繁に催されるアートイベントのインストールは、3階が担当している。本格アートを感じながら、お酒だけでなく、満足できる料理を堪能できるところも大きな特徴だ。人気メニューは鉄板焼きで、定番はお好み焼き。とはいえ、フォアグラ入り(¥2,000)やエスカルゴ入り(¥800)と、意外性のある組み合わせがとてもユニークでクリエイティブ。その日に入荷した食材によって内容が変わる獲れたて野菜の鉄板焼き(¥750)や、塩バターキャラメルパンケーキ(¥700)など、バラエティに富んだメニューを楽しめるのが嬉しい。カフェの運営は、トーキョーワンダーサイト内のアートカフェなどを手掛ける「Jellyfish.(ジェリーフィッシュドット)」。オリジナルのメニューも開発していると聞けば納得だろう。“喫茶&スナック”という名前に相応しい、レトロ感のあるインテリアも魅力。カウンターは、“気取って”ではなく“気軽に”くつろげるよう少し低め。ついつい長いしたくなる居心地の良さが、そこここに演出されている。

マジックルーム(写真右)「とれたて野菜の鉄板焼き」(¥750)その日に入荷した新鮮な素材を厳選した鉄板焼き。盛り付けがアーティスティックなのも、見ていて楽しい(写真中央)「塩バターキャラメルパンケーキ」(¥700)塩をしっかり利かせた大人のためのパンケーキ。しっかりと程よい弾力で、噛みごたえのある感触が新鮮で美味。アイスクリーム付き(写真右)「梅酒 ゆめひびき」(¥1,500)あまり他ではお目にかかれない珍しい高級梅酒。こっくりした濃厚な味わいながら、口当たりはなめらか。水やソーダで割らずに、ストレートで味わいたい。

マジックルーム「ナディッフ・アパート」に通うアート好き、アーティストなどが良く訪れるものの、「さまざまなジャンルの人の交流の場になって欲しい」「アートを知らない人も、その魅力に触れるきっかけとなる場になれば」と誕生した空間だけに、芸術に特別詳しくなくても気軽に訪ねられる雰囲気が嬉しい。まずは、美味しいお酒とお料理目当てでここに通ってみるというのも、案外、アートへの近道かもしれない。この時期、食と芸術の秋を同時に堪能できるおすすめスポットだ。

(写真左)調度品も個性的なものばかり (写真右)一人席もある

text/june makiguchi、photo/shiori kawamoto

bar information


マジックルーム喫茶&スナック MAGIC ROOM??

住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 4F
Tel:03-6408-9255
営業時間:平日 12:00〜23:30、金・土・祝前日 12:00〜4:00無休