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食後の2軒目を探すのは意外と難航しがち。ほろ酔いの足ではあまり遠くまで移動したくないし、食事の余韻も残しながら、新たな気分で楽しいひとときを過ごせる店を求めるからだ。そんな無理難題を解決してくれるのが『shiokara』だ。 銀座界隈で食事をしたときの2軒目として覚えておきたい。

shiokara インパクトある店名通り、塩辛を中心に全国の珍味を肴にして愉しむというコンセプトのお店。塩辛というとイカのそれくらいしかイメージできないかもしれないが、サバ、かにみそ、たらこなどバラエティに富んだラインナップが揃っている。また、これらはすべて全国各地の郷土食でもあり、「塩辛」というジャンルが日本全国に根付く国民食ということにも驚かされるはずだ。

(手前右より時計回りに)たらこを発酵させた「たらこの塩辛(新潟)¥520」はかなり塩辛いがうずらの卵を合わせるとマイルドな風味に。サバを丸ごと漬けた「サバの塩辛(島根)¥640」は個性的だがお酒好きには好評。マイルドで食べやすい「たこまんま(北海道・白糠)¥680」はタコの卵の塩辛

そもそも、このお店がオープンするキッカケは、「珍味と白く透き通ったお酒は、非常に相性がよい」ということに気づいたからだそう。透き通ったお酒とは、日本酒、焼酎、ジンやウォッカなどのスピリッツ類のこと。確かに、ロシアではキャビアとウォッカ、スウェーデンではスーシトレンミング(世界一臭いといわれるニシンの缶詰)とアクアヴィッツが定番だし、ブルーチーズには甘口の白ワインを合わせるものだ。なるほど、白く透き通ったお酒と珍味は世界共通のゴールデン・コンビということか。

1軒目で満たされてきたおなかには、箸休め的な珍味とハードなお酒をちびちびと楽しむのがちょうどよく、理にかなった組み合わせなのかもしれない。とはいえ、バーで珍味を楽しむというのは新鮮で楽しい。はじめて出会う日本各地の珍味、お酒との組み合わせ方など、会話が弾むキッカケをもたらしてくれるだろう。

shiokaraまた、冒険感覚でチョイスするには最適な少量のポーション、手頃な価格というのもうれしい。いろいろ試してみて、自分好みの珍味と出会い、自分スタイルの飲み合わせをみつけるという楽しみ方もできるのだ。酒の肴としてはもちろん、釜で炊いたほかほかの「炊き立てごはん(¥730)」と合わせたり、「煎茶と昆布塩(¥260)」でお茶漬けにすればシメの一食にもなるから一石二鳥というもの。

(写真左)塩辛い珍味とバタートーストの組み合わせは絶妙! 噛みごたえのある珍味とサクサクのトーストの異なる食感のハーモニーも楽しい。 小田原産いかの塩辛赤造り ¥540、バタートースト ¥420 (写真右)ふくよかさや香りが広がり、日本酒ビギナーの女性にも飲みやすい純米吟醸は、山口県の小さな酒蔵がていねいに仕込んだ逸品。 獺祭45 純米吟醸(山口)¥1,260

中央通りを1本裏手に入ったビルの地下という、アクセスは最高なのに、隠れ家的である空間もたまらない。照明が落とされ、細く、深い階段を下りていく過程もなんだかワクワクしてしまう。そして無機質なドアを開けると、そこには明るく、清潔感のある空間がパッと広がり、和食店のような白木のカウンターが存在感をアピールする。このギャップもおもしろい。奥には個室風のテーブル席が設けられ、2軒目の親密度を高めるにはうってつけの空間だ。

珍味にフューチャーした話題性、銀座の中心に在りながら隠れ家的な面持ち、そして本物志向の酒と肴。どんなに遊び慣れた人を連れて行っても、喜ばれるだろう。

text/miho sasaki、photo/shu remy kawakami

bar information


shiokarashiokara 

住所:東京都中央区銀座2-7-7 銀座ロビーB1F
Tel:03-3538-5323
営業時間:月〜土・祝前日 18:00〜翌3:00
定休日:日・祝日

地下奥深くに隠れ家のごとく存在する。同じビルの1〜7Fまでにある京料理をメインとしたレストラン「銀座ロビー」を併せて利用すれば、より便利に。