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笹塚駅から1分とかからないうちにたどりついた『eclissi』には、神秘的な空間が醸し出され、さっきまで雑踏にまぎれていたことを忘れさせる。“エクリッシ”とはイタリア語で「日食、月食」を意味する。覆い隠した太陽に照らされた月を連想させる、ぼんやりとライトアップされた大きな大理石のテーブルは、まさに「月食」だ。

レストラン「ステラート」でスウシェフを務めた経験をもつ大谷昌也氏がここ「eclissi」でその手腕を発揮する。鉄のパエリア鍋に敷き詰められた熱い石の上でジュウジュウと音をたてる魚介類たちが溢れそうな「イトヨリ、有頭海老、貝類の石焼き」。キッチンから出てきたとたん、ガーリックと磯の香りが店内いっぱいに広がり食欲をそそる。丸ごとグリルされたイトヨリは今にも飛び跳ねそうだ。大谷シェフの工夫により、ハマグリやムール貝は冷めてもおいしくいただけるようにとジューシーに仕上げられている。恋人や友達とゆっくり語り合いながら、あるいはひとりでお気に入りの雑誌をめくりながら時間をかけてゆっくり食事を楽しみたい。

(写真上):鍋ごとオーブンで焼き上げられた色鮮やかな魚介類たち。シンプルな味付けが魚介の持つ旨味をいっそう引き立てる。「イトヨリ、有頭海老、貝類の石焼き」\\2,800(税込)

エクリッシ(写真左)お店の内装がスタイリッシュなら料理もスタイリッシュ。白舞茸を使うことで色彩が保たれる。「豚フィレ肉のストロガノフ風フェットチーネ」\\1,500(税込)(写真中央)入ってすぐにある大理石のテーブル。ライトアップされより透明感のある雰囲気を作り出す。(写真右)内装はシンプルでいてスタイリッシュ。時間によってかわるBGMや壁に掛かった写真にもこだわりとセンスを感じる。

フレンチ出身の大谷シェフの技量が伺える一皿、シェフのおすすめメニュー「豚フィレ肉のストロガノフ風フェットチーネ」。ひときれずつ丁寧に巻き上げられた豚のフィレ肉はしっかりと旨味エキスが閉じ込められ、イタリアのお酒・マルサラを使用したソースに絡みつき、落ち着きのある味わいを生み出す。ストロガノフ風とはいえクリームが控えめなので重くなく、フォンがたっぷりで旨味は十分。マルサラの芳醇な甘みに、粗挽きのブラックペッパーがピリッとアクセントに。

「エクリッシ」の姿勢はいつでもウェルカムで、そしてあたたかい。「いらっしゃったお客様には、自宅で食べているように料理を味わってほしいです。お店全体がひとつの家で、スタッフはファミリーのような感覚ですね。気軽に足を運んでほしいです」とマネージャーの勝部氏は語る。ちょっと疲れたとき・スタミナ不足のとき、料理でそして接客で心が少し豊かになれる…そんなお店だ。

text / yasue ishiga 、photo / yosuke omura

restaurant information


エクリッシeclissi

住所:東京都渋谷区笹塚1-29-3 SS−DUPLEX1F
Tel:03-5790-3340
定休日:不定休
営業時間:11:30 〜26:00
ランチ /11:30〜15:00、ティー/14:00 〜17:30
ディナー/17:30 〜23:00、バー/23:00 〜 26:00

これからの季節なら、ペットを連れてウッドデッキのテラスでゆったりと過ごすのもいい。スタッフが心尽くしのもてなしで歓迎してくれる。(左より、勝部マネージャー・大谷シェフ・藤井キッチンスタッフ・赤田ホールスタッフ)