stayhomegekijyo
チョコレートというと、ベルギーやスイス、フランスなどをイメージしがち。ところが実は、ヨーロッパで最初に普及したのはスペインというのをご存知だろうか。チョコレートの原料であるカカオは、スペインのラテン=アメリカ諸国の征服によって、もたらされた戦利品のひとつなのだ。 その後、スペインの王女たちが近隣諸国へ嫁ぐ際にチョコレートを持参し、その美味しさを広めたという。ルイ14世に嫁いだマリア・テレサは、チョコレートのみならず、専門シェフを引き連れてフランス入りをしたという逸話からも、スペイン人がどれほどチョコレートを愛しているかがうかがえる。

(写真上):手前から バラの香りがほのかに感じられるロマンティックな「ローズ」、オリーブのフレッシュさが閉じ込められた「エクストラヴァージンオリーヴ」、ホワイトチョコに包まれたフルーティな柚子のガナッシュはまるで和菓子のような「YUZU」、華やかな風味を持つ「タヒチヴァニラ」、ハチミツやアーモンドなどで作られるスペインの伝統菓子・トゥロンフレーバーの「トゥロン」。他にもアニスやサフランなど、他店では味わえないものが季節によって30種類ほど用意されている。 ※すべて4個入りから。さまざまなフレーバーが楽しめる「コレクション12」(12種類/¥3,780)や「コレクション18」(6種類×3個/¥3,675) ★価格は変動の可能性有り

オリオール・バラゲチョコレート以外にも、気候と食材に恵まれたスペインの人々は、1日に5回も食事をするほど食べることが大好き。そんなスペイン人をはじめ世界中のグルマンたちの“スペイン料理の世界観”を変え、今や「世界一、予約が困難なレストラン」として知られる『エル・ブジ』でデザート・シェフとして貢献をしてきた若きパティシエが、オリオール・バラゲ氏だ。その類稀なセンスと技術は、“デザート界のピカソ”と称されるほど。氏が生み出すチョコレートは、口の中でパチパチとはじけるものやワサビやしょう油フレーバーのものなど、一風変わったものが多い。しかし、まったく違和感はなく、感動すら与えるものに仕上げてしまうのも奇才たるゆえん。カカオの実を模った一粒は、一見ハードタイプのよう。しかし、口に含むとガナッシュがあふれ出し、今まで味わったことのない絶妙な食感を残して、とけてしまう。これが世界中の美食家を唸らしてきた味なのか、と驚くばかりだ。

店内も、チョコレート専門店とは思えないほど、スタイリッシュでマスキュリン。壁一面に掲げられたスクリーンには、波紋が流れているのが個性的で、印象深い。ブランドカラーであるブラックとシルバーを基調とした落ち着いた空間のすべてに、自然の造形美を取り入れた建築様式、“モデルニスモ”(スペイン語でアール・ヌーヴォーを意味する)のエッセンスが散りばめられている。

男性がふらりと訪れても違和感はまったくない。事実、恋人やパートナーのために、チョコレートを買い求めに来る男性が多いそう。その点も、ほかのスイーツ店とは一線を画しているといえるだろう。男性から、こんなハイセンスなプレゼントをさりげなく渡されたら、恋愛感情があろうとなかろうと、俄然、彼の株が急上昇すること必至の逸品だ。

text/miho sasaki 、photo/chikahito nagai

shop information


オリオール・バラゲオリオール・バラゲ

東京都区港区白金台4-9-18 
Tel:03-3449-9509
営業時間:10:00〜20:00 無休

白金台交差点よりプラチナ通りに入って、徒歩3分ほど。通りを挟んで、ENEOSの向かい側にあるビルの2階。

チョコレート専門店とは思えないほど、無駄がなく、スタイリッシュな店内。路面店ではなく、ビルの2階に位置するのも「知る人ぞ知る名店」らしさを醸し出し、興味をかき立てる。