マイケル・デウィック,ザ・サーフィング・ライフ
オール・ヌードの若い女性が小脇にサーフボードを抱えて砂浜を走っている―――他人の視線を気にせず、赴くままに自由に生きていく様はわたしたちの目を釘付けにする。彼らはファッション写真のなかのプロのモデルではなく、すべてモントークという町のローカル・サーファーたちである。

そう、ニューヨーク州ロングアイランド東端のモントークでは、地元のひとだけがサーフィンを楽しみ、古きよきアメリカが未だに残っていて、みんなが仲間同士であり、そのコミュニティーの中でよそ者を寄せ付けず、そして裸でサーフィンが出来るほど自由な環境なのである。

マイケル・デウィック,ザ・サーフィング・ライフ

90年代に入ってから、静かな小さな漁村だったこの町に、マンハッタンの都会から多くの若者が訪れるようになる。子供の頃からこの地を何度となく訪れているマイケルは町の魅力が失われていくことに危機感を抱き、何かが消え去る前にそれらを記録しておきたいという願望からこのプロジェクトは生まれた。ローカルたちがマイケルに挨拶してくれるまでに28年、長い年月をかけて撮影された若き美しいサーファーたちのライフスタイルは、忘れ去れていたアメリカン・ドリームの世界そのままにわたしたちを魅了する。

本展を企画したアート・フォト・サイト・ギャラリーのギャラリスト・福川氏は「モントークは、美しい男女が周りの目を気にしないで自由に好きなことに集中できるような理想郷だったことをマイケルの写真が教えてくれる。時代とともに、人々のライフスタイルは変化し、グローバリズムそして地域コミュニティーの崩壊は日本だけの状況でなくなってきています。古き良きアメリカが21世紀にも残っていたこの記録写真をみて何かを感じとってもらいたい」と語る。

マイケル・デウィック,ザ・サーフィング・ライフ

マイケル・デウィックの日本初個展となる本展ではニューヨークの個展で展示され、写真集に収録されている「ザ・サーフィング・ライフ」シリーズからのオリジナル・プリント34点を展示・販売されている。マイケルの写真がどことなくブルース・ウェバーを彷彿させるのは、偶然にもオリジナル・プリントを製作するプリンターが同じ人物であり、また実際に2人は友人だそうだ。作家の世界観をより身近に感じ、手の届きやすい価格なのもオリジナル・プリントの魅力でもある。 ©Micheal Dweck

マイケル・デウィック,ザ・サーフィング・ライフ
art画像無し

MICHEL DWECK THE SURFING LIFE

マイケル・デウィック写真展「ザ・サーフィング・ライフ」
会期:2006年5月30日(火)-7月15日(土)
開館時間:13:00-19:00 日曜・月曜休廊
会場:Art Photo Site Gallery アート・フォト・サイト・ギャラリー
〒153-0064 東京都目黒区下目黒6-20-29
TEL.03(3714)0552
JR目黒駅より大岡山小学校行きバス乗車、目黒消防署前下車徒歩3分