エミリオ・プッチ,ピーター・デュンダス,EMILIO PUCCI
エミリオ・プッチ。この名を聞いただけで、心躍る華やかなプリント柄が目に浮かぶ。どんな女性をも美しく見せてしまう鮮やかなプッチのプリント。誕生から60年が経っても、このブランドはおしゃれな女性たちを魅了する定番であり続けている。

エミリオ・プッチ,ピーター・デュンダス,EMILIO PUCCI

人気の理由はやはり、華やかな色あわせなのに決して品位を失わないプリントだろう。これこそ、「プリントの王子」と呼ばれた創設者の精神性そのものだ。ブランドの創設者エミリオ・プッチはフィレンツェで最も歴史と格式を持つ貴族の家に生まれ、後に政治家にまでなった人物。スポーツマンでもあったエミリオは、1947年に「ハーパーズ・バザー」誌に流線形のスキーウェアを発表したことからデザイナーとして注目を集めるようになる。フィレンツェの自宅とスイスの山々、カプリ島を行き来する生活を送っていた彼は、いわば真のジェットセッター。そんな優雅なライフスタイルを反映したモダンで活動的なスタイルは、即座におしゃれな女性たちのハートを射止めたのだった。初のブティックをカプリ島にオープンすると、自然の鮮やかな色彩と合いながらもシンプル、かつラフになり過ぎない美しいリゾートウエアを続々発表。旅好きだった彼はさまざまな土地の文化、例えばシチリアのモザイク、シエナのパリオ競馬、バリのバティック、アフリカのプリミティブなモチーフ、そして自然などに触発されていく。それを自らの解釈によってデザインとして表現していき、独自の洗練されたカラーパレットによる色彩の組み合わせを使って、グラフィカルで抽象的なプリント柄を確立。それが1960年代のことだった。

左:エミリオ・プッチとラウドミア・プッチ父娘 右:エミリオ・プッチ ファウンデーション

数多くのブランドが存在する中で、定番であり続ける理由としては、“プッチプリント”以外にも多くの理由がある。それまで、まだコルセットや重く硬い素材を身につけて不自然な形で体を締め付けざるをえなかった女性たちに、シンプルで自由、自然な曲線によるセクシーさという新しい美の定義を提示。イタリアのテキスタイル会社とともに、独自に開発したシルクストレッチジャージーとコットンジャージーを使い、軽くてシワにならず、旅にも適したスタイルを提案したのだった。

エミリオ・プッチ,ピーター・デュンダス,EMILIO PUCCI

そんなプッチの魔法に魅了されたのは世界の王侯貴族をはじめ、マリリン・モンロー、ソフィア・ローレン、ジャックリーン・ケネディー、グロリア・ギネスら時代のミューズたち。今ではマドンナやニコール・キッドマン、シエナ・ミラーやサラ・ジェシカ・パーカーらもプッチの虜だ。彼女たちは、エミリオがイメージしたミューズそのもの。エネルギッシュで前向き、好奇心旺盛で旅が好き。そんな女性たちが望むすべてが備わっているのがプッチ。簡単に着られてなおかつエレガントで、デイタイムから華やかさの必要なナイトタイムにもぴったりで、機上でも海辺のパーティーでも着ることができる服は、ジェットセッターたちの必須アイテムとなっている。

プッチといえばリゾート感覚いっぱいのプリント柄という印象が強いのも事実だが、より都会的なイメージを求めて、新世代のプッチが始動している。 1990年初頭、プッチプリントは再び脚光を浴び始めると同時に、プッチの娘であるラウドミア・プッチがイメージディレクターとして父の仕事を継承。これまでにクリスチャン・ラクロワや、マシュー・ウィリアムソンといった才能あるデザイナーたちが、プッチのスタイルに新しい解釈を与えるコレクションを発表してきた。2008年10月からは、新たにピーター・デュンダスがクリエイティブ・ディレクターに就任し、すべてのエミリオ・プッチのコレクションを手掛けている。

上:ピーター・デュンダス 下:今春docomoより発売されたエミリオ・プッチの携帯電話

2010-11年の秋冬コレクションでは、写真家ヘルムート・ニュートンが表現した70年代の退廃的なムードを持つヒロインをインスピレーション源に、センシュアルでスリム、ラグジュアリーでありながらロックテイストを持ったアイテムを発表し好評に。秩序と解放というアンビバレントな要素を組み合わせながら、メゾンが持つ柔軟性、イタリアブランドらしい官能をも感じさせた点にも注目が集まった。カラーは、インキーブラック、ミッドナイトネイビー、ポイズングリーン、ディープパープル、ヴァイオレット、カーネリアンレッドなどのスモーキートーン。素材としてヴィンテージ加工のベルベットやジャカード、アンティークの着物風プリントを施したシルク、メタリックゴールドのレースなどを用い、見るものの五感を刺激する演出を施している。さらに、画家のグスタフ・クリムやオリエンタリズムから着想を得た新しいプリントも登場し、神秘的かつ甘美で退廃的な世界をも覗かせ、新生プッチをより強く印象付けた。

エミリオ・プッチ,ピーター・デュンダス,EMILIO PUCCI

プリントに対するリスペクトを持ちつつも、印象の強いプッチのエッセンスから引けるものを引き算していった結果、たどりついた“今”という進化。そこには、未来を見据えるだけでなく、誕生当時のプッチを感じさせるソリッドカラーによる温故知新の精神も。トータルでコーディネイトしやすく、手持ちのアイテムと合わせやすく、より都会的なアイテムも増え、新たなる可能性を感じさせている。 そんなデザイン性での進化だけでなく、時代とともに歩みを進めるプッチは、携帯のデザインを手がけたり、Facebookにて公式ページをスタートさせたりとデジタル時代にも対応。同時にTwitterもスタートさせ、最新コレクション、最新情報、プッチ宮殿のデザインスタジオの様子、近年のプッチのスペシャルプロジェクト、レッドカーペット上でのプッチセレブたちの様子などをよりリアルに感じさせてくれ、プッチファンやブランドとの絆を深める場となっている。

左:2011年春夏リゾートコレクションより

2010年8月には、そんなブランドの60年以上にもわたる歴史を一冊にまとめたブック「Pucci」がTASCHEN社より発売された(31,500円)。装丁には、ここ数シーズンで発表されたプリントを使った数種類のファブリックが使われ、手作りされている。全世界限定1万部だが、そのほかに500部はアーカイブの中から本物のファブリックを使用したコレクターアイテム級のヴィンテージ版(126,000円)も。プッチの世界観をより深く知るためにも、こちらもぜひ手にとってみては。詳しくはこちら

(june makiguchi)

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お問い合わせ先:エミリオ・プッチ カンパニー Tel 03-5410-8992



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