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以前“art”で触れたギャラリー「waitingroom(ウェイティングルーム)」がグループ展としては初となる「窓と物語」を2月19日まで開催中。

waitingroomは、NYでアートの仕事に携わってきた芦川朋子と山内真が運営するギャラリー。2009年2月ににオープンした三軒茶屋の自宅兼ギャラリーでは、「本当に良いアートをまずは自分たちの出来る方法で、今ここから伝えたい」というDIY精神からくるポジティブかつニュートラルな在り方が、業界内外の素直に面白いものを求める人々を呼び寄せ、二人のディレクターが信じる良質な表現をダイレクトに伝えてきた。そしてついこの間、2010年10月には独立したギャラリーとして恵比寿に移転。ギャラリーやショップ、クリエイターが多く存在する恵比寿には、waitingroom移転と同時期にMaison Martin Margielaなどを運営する株式会社ここのえがMMMトウキョウ店上階に構えた「Gallery KoKo」、天野喜孝などアジア中心とした国際的に有名なコンテンポラリーアート作品を扱う「ART STATEMENTS Tokyo Gallery」といった新スペースがオープンしている。「現在恵比寿だけではなく、周辺の広尾や代官山地区も巻き込んで、地域ぐるみのエリアイベントを立ち上げる準備をしている最中です」。waitingroomディレクター芦川さんはエリア一帯のコラボレーションについて意気揚々に語る。既にあるものと新しいパワーによって一帯のアート震源地としてのステータスを高め、ポジティブなアートパワーを広げていきそうだ。

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さて、そんなwaitingroomが展開するグループ展は、ディレクターの二人がNY時代に知り合った作家2名と、昔から知る日本人作家、そして最近になって知り合った日本人作家という計5名の作品を「窓と物語」というテーマでミックスするもの。作家とディレクターの関係してきた時間や濃度も介入したwaitingroomならではの情景、ストーリーが展開される。

waitingroomは、若手の作家を中心に紹介していることもあり、比較的手の届きやすい作品もあるので、「自分の部屋にこの作品があったら」という想像もしやすい。waitingroomディレクター芦川朋子さんはこう語る。「“好奇心”にちょっとした“勇気”が加わった時に、自身の中に“アート”を取り入れる、その新鮮な喜びを味わえるのではと思います。waitingroomがその足がかりになれれば、とても嬉しいです」。また、展示室の他に二人がが「待合室」と呼ぶショップコーナーがあり、展示作品以外にもzineや様々なアートグッズを取り扱っているため、気軽に購入出来る作品も多数取り揃えられている。恵比寿駅から徒歩5分ほどで着く趣ある建物にぜひ足を運んでみてほしい。

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■グループ展「窓と物語/windows and the stories」
日程:2011年1月15日(土) - 2月19日(土)の月・金・土曜日
時間:月:17:00 - 23:00、金&土:13:00 - 19:00
18日(金)休廊
19日(土)13-19時で営業
20日(日)13-21時で営業(17時からささやかなパーティ)

入場料:無料
会場:waitingroom/ウェイティングルーム
東京都渋谷区恵比寿西2-8-11渋谷百貨ビル4B


(上写真)「Fading Activity」, ダリーナ・カーポフ, 2009年
キャンバスに油彩, 61 × 46cm
Courtesy the artist and Pierogi
芦川さんがNY時代にも展示したことのあるダリーナ・カーポフ(Darina Karpov)は、自然物と人工物の交配種のようなモチーフが特徴的。一見ダークで暴力的ですらありながら優美な印象も与えるハイブリッドな様相を湛える。

(中写真)「People & Building(一部)」, 加藤豊, 2010年
木材、アクリル, サイズ可変
(撮影:名和真紀子)
ディレクター山内さんは作家が立体作品へ移行する際にアイディア交換を行ったこともあり、今回の展示作品に対する思いも非常に強いという。

(下写真)「Untitled」, 辻可愛, 2010年
パネルにキャンバス、アクリル
去年秋にスパイラルで開催されたアートフェアー「ULTRA003」からチームwaitingroomへ参加した辻可愛はまだ可能性未知数、フレッシュな空気を運んでいる。