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フランス オーヴェルニュ地方の首府クレルモン・フェランから15㎞ほどに位置するリオム。ガロ・ローマン時代を語る街である。ここリオムのMusée Mandet(マンデ美術館)が1月22日にリニューアルオープンした。 1年間の改修工事を経て、主に、20世紀から21世紀の金銀、ガラス、陶器細工の装飾品を披露する“デザインと現代装飾美術”をテーマにした空間が新設された。

1866年の創設時は、地方の著名人肖像画の展示がメインであったが、絵画や彫刻のコレクションも豊かに。その後、地元弁護士の夫妻が1500点に及ぶ芸術品を寄贈した。今回のリニューアルオープンでは、フランスの伝統芸術を全面的に紹介しながら、イタリア、カナダ、アメリカ、アジアの国内外からもコレクションを増やしている。また、紹介する作品に用いられる制作技術を説明することに尽力し、教育の場面にも関与していく姿勢だ。イタリア人作家では、ガエ・オランティやエットレ・ソットサスなどのデザイナーによる少量エディションも見られる。ミラノでは後に工業デザイン商品を手掛けるようになるのだが、1920年代頃から工芸品を制作している工房が中小企業として現在でも存在する。こうした制作工房の背景も汲み取りながら、造詣に丁寧なまなざしを向けることに期待する。日本人作家 鈴木洋の作品もパーマネントコレクションとなる。
フランスの中部にふらりと出掛けてみたくなる季節が、間もなくおとずれようとしている。

Musée Mandet
14,rue de l’Hôtel de Ville
63200 Riom France

(取材・文 Kaoru URATA)

(写真)Hiroshi Suzuki
Vase Aqua Poesy IX,2005
平打ち銀の花瓶
©Karine Joannet –Vice-Versa