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「Etw.Vonnegue(エトヴァス・ボネゲ)」は、2011年春夏に原宿でのゲリラショーでデビュー、二極の要素を統合して“止揚”させることを軸とし、社会に対してファッションの意味を提起するブランド。
東日本大震災の影響を受けて、「第12回東京発・日本ファッションウィーク(JFW in Tokyo)」が中止になるなどファッション業界にも自粛ムードが高まるなか、Etw.Vonnegue(エトヴァス・ボネゲ)は当初予定されていた3月22日、東京でのショー開催に踏み切った。
テーマは“Symbolic(シンボリック)”。「内容や会場は変わったが、今やらなくてはいけないことをやっただけ。何のために服を作るのか? 今のファッションにできること=生きること、そんな理念がシンボリックになるかもしれないと信じた」と、デザイナーのOlga(オルガ)氏は語っている。

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細身のシャツやトレンチコートには流麗な弧を描くボリューム感をプラス。またコットンTシャツはダークな側面も持ち合わせる色鮮やかなグラデーションで個性的に。他には、プリーツ状にケミカルな蛍光カラーをのせたスカートやパッチワークのようなチェックコートなど。

コレクションではメンズ4名、レディス2名からなる合計6体のユニセックスな服が披露され、またこの模様はより多くの人にも伝わるようにとUSTREAMを通じてライブ配信も実施された。ショー後半にはOlga氏自らが登場し、ヘアサロンBOYとのコラボレーションによって“髪を切る”というパフォーマンスも演出。モデルも一人一人がステージでラックにかかったアウターを取り出して羽織るなど、服を着ることや髪を切るといった日常の行為に加え、そこから着飾ることの楽しさ(Olga氏は着飾ることは活力に繋がる、とも語っている)をメッセージを添えて伝えた。大地震の後遺症は想像を超えるものだが、そんななかでも生きる喜び、ファッションを楽しむことの喜びを伝えたコレクションに心響いた人も多いことだろう。これを機にファッションの力で日本中に活力が戻ることを期待したい。

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今回のショーにはTwitterで公募したモデルたちが参加。Olga氏いわく「100人近い応募があったがブランドイメージに100%近いモデルたちに参加してもらった。みんなキャリアも背景もバラバラだが、Etw.Vonnegueというアーカイブを共有した集まりになっている」。

近藤陽子/ファッションエディター&スタイリスト