culture110405_1mainjpg
「扇子のような視野」を持っていたシャルロット・ぺリアン(1903~1999年)。生涯、物事を総括的なビジョンで捉え、建築とデザインに励んだ。現在でも、彼女の功績は、デザイン界で多大な影響を与え続けている。 女性として、業界の先駆者でもあった。

パリのポンピドゥーセンターで、2005年に大回顧展が開催されたばかりのような気がしていたが、4月初旬より、プチ・パレ美術館で、20年代後期から晩年期に及ぶ、写真380点を公開する。それと並行して、関連のある家具70点が展示される。

24歳にして、建築家ル・コルビュジエのアトリエに飛び込み、インテリアと家具デザインを手掛け、数多くの傑作を残すことになる道程には、写真は重要な位置づけにあった。30年代には、ランドスケープデザインにも関心を寄せ、デザイン業に総合的に取り組んだ。体を動かし、スポーツを心から愛したぺリアンは、自然から豊かなインスピレーションを得た。今日、携帯電話やデジタルカメラで写真を納めるように、当時のぺリアンも、同じような感覚で、写真を撮り、仲間たちと創作について語り合う材料として使用した。 それは、魚の背骨構造を椅子の構造に反映するなど、自然界の非対称構造を推奨することで、独裁的な社会構造を批判する行為でもあった。

40年代より、来日して日本文化のエッセンスを汲み取り、欧州の文化と融合する在り方を形にしたぺリアン。本展でも、観衆たちに新たな発見をもたらしてくれるだろう。

Charlotte Perriand,de la photographie au Design(シャルロット・ぺリアン 写真からデザインの道程)展
会場:プチ・パレ美術館
日時:2011年4月7日~9月18日迄

【02 Ombra Tokyo_ash】
Ombra Tokyo 1954年 


(取材・文 Kaoru URATA)