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昨今、産学協同が盛んになされてきている。産業界のノウハウを、将来性ある学生たちに伝授することで、産業界の延命に期待することもできるという歩み寄りでもある。 フランスでも、デザインや造形美術大学では、事実に接近した課題を在学中から習得することで、卒業後も就職しやすいという有利点があげられている。

ENSAD(装飾美術高等学校)の2年生の42名が、学科を横断して8グループを構成。フランスのテキスタイル産業界でリーダーシップをとる、様々なノウハウを担う5社がともに、3週間に渡るワークショップを行なった。テキスタイルの革新的な側面に迫り、その可能性を導き出すことが主旨であっただけに、家具や内装材として、ものを包んだり、装飾効果だけに終わらない、その一歩先に着眼した提案が求められた。
その結果、建築構造としてとらえた提案が目立った。提携した5社は、伝統を重視しながらも現代仕様に基づく製品を展開しており、各社の素材感は、その用途に応じて、耐久性や重さなども異なる。

アイディアと応用性に富んだ42名の提案は、機能的な家具から空間、さらに実験的かつ芸術的なエッセンスを浮上させる。11月には、選考されたプロジェクトのプロトタイプも展示される予定だ。

(取材・文 Kaoru URATA)

写真:Theodolinda 天井に張られた刺繍模様が、線で地と結ばれる演出