Vol.1 交錯する文化から生まれた 奇跡の香港キュイジーヌ

旅に出れば、その土地で日常的に食されているものを食べてみたいと思う。それは、旅に出るからこそ湧き上がってくるちょっとした好奇心のせいかもしれない。 人々の生活と密接なつながりを持つ食こそ、その土地ならではの文化の味わいを、何よりもよく体現しているのだろう。食べて"香港"を知れば、より一層その奥深い魅力に気づけるはず。食で受ける心地よいカルチャーショックに身を委ねて、ぜひ異国を旅する楽しみを存分に味わってみたい。

今、香港を訪れたなら、中華だけでなく各国から集められた選りすぐりの一流料理を食べることができる。その一方で、東洋文化と西洋文化、社会主義と資本主義、新しいものと古いもの、そんな対極的なエッセンスをはらみながら、その狭間で上手くそれぞれの良さを吸収してきた香港だからこそ、地元に根付いたローカルグルメもいまだ健在。Vol.2では、これぞザ・香港スタイルとも言うべきローカルグルメの数々をご紹介!

香港の朝食の定番、お粥朝食のススメ

香港の人々にとって朝昼夕の3食通して外食することは日常的。だから飲食店は早朝から朝食を食べる人々で賑わっている。医食同源の思想が根付いている香港ではお粥で体調を整えるため、街のあちこちにお粥専門店が点在している。店によってお粥に投入する素材や出汁のとり方、米の煮込み時間などにこだわりがあって、それぞれにオリジナリティ溢れる香港粥がいただける。ただし、日本で食べるお粥を想像して行くと、出てきた料理のギャップに少し驚くかもしれない。香港のお粥はとろみがたっぷりでアツアツなうえに、具だくさんでボリューム満点! さらにお粥には揚げパンを浸していただくのが香港スタイル。価格も日本円にして3~400円ほどの手軽さだから、朝起きがけにぜひ香港朝粥のローカルグルメを堪能してみて。

尖沙咀(チムサアチョイ)の雑踏にひっそりと佇むお粥専門店「鋮記一品粥(Shing Kee Congee Shop )」では、じっくりと煮込んだお粥にピータンや骨付きの魚の切り身、アワビ(ローカル点ではインスタントが主流)、カエル肉などを入れたり、生姜の風味が香るなどバリエーション豊かな滋味溢れるお粥がいただける。小皿料理には、腸粉(チョンファン)と呼ばれるつるっとした食感が美味しいチャーシュー入りの中華風クレープがおすすめ。

日本ではあまり食する機会の少ないピータンも濃厚な出汁のきいた香港粥にはベストマッチ! 香港でしか食べられないレバー、大腸、胃袋などの豚モツ類が入った粥やカエル肉が入ったお粥も、新鮮な具材がきちんと処理されていてるので食べやすいが、ちょっと遠慮したいという人はピータンと豚肉入りのお粥がおすすめ。

INFO:
鋮記一品粥(Shing Kee Congee Shop )
No.97 Ng Chun Street, Jordan
Tel:(852) 3421 2307

香港式ファミリーレストランの驚きの定番メニュー

(写真右):翠華レストラン外観 (写真中央):翠華レストラン店内 (写真左):翠華餐廳の「揚げパンのコンデンスミルク掛け」。甘い揚げパンにコンデンスミルクをかけていただく。一度食せば、この独特な味が忘れられない。

香港にもいわゆるファミリーレストランが存在する。こうしたチェーン店では、朝から家族みんなで朝食をとっている風景もそこここと見受けられる。そんなファミレスの代表的なお店が「時代は変わっても変わらない味がある」というキャッチフレーズで有名な、香港式ファミリーレストラン「翠華餐廳(Tsui wah restaurant)」だ。店員さんに英語は通じない場合も多いが、メニューにはちゃんと英語表記があるので安心してオーダーできるはず。カジュアルなムードのお店なので観光客でも立ち寄りやすい。香港に行ったら一度、訪れてみては。

(写真右):イギリスからやってきたミルクティーが、いまや香港文化に根付いて伝統的な飲み物に。翠華餐廳のミルクティーもコンデンスミルク入りの濃厚な味わい。(写真中央):ラーメンに牛肉を乗せれば香港スタイル。日本でも試してみたい気分になる? (写真左):「蝦球炒麺(fried needle)」揚げた麺の上に甘酸っぱい海老入りのソースがたっぷりと掛っている。日本人や欧米からの観光客にも翠華餐廳の人気の一品。

朝食のセットメニューは300円で、+30円でドリンクが付けられる。周りのテーブルを見渡すと、何やらインスタントラーメンのようなものを注文している人が多い。これは日本でもお馴染みの出前一丁。日清食品の出前一丁は、香港では人気の定番メニューで、ファミリーレストランだけでなく居酒屋などでもお目にかかれる。ただし香港での食べ方は一味違う。麺の上に牛肉をたくさん乗せて食べるのが香港流。そしてセットメニューとして、コンデンスミルクがたっぷりかかったマフィンのような揚げパンが付けられる。これも香港らしいローカルフードで、朝からちょっと高カロリーだけれど、妙にクセになる味わい。ドリンクでオーダーしてみて欲しいのが香港式ミルクティー。返還前の香港がイギリスの植民地だったことに由来して、香港人にとってミルクティーはなくてはならない飲み物。夏の暑さが厳しい香港では、生乳を使うよりも濃厚で保存がきくコンデンスミルクを入れるのが主流。まるでベトナムコーヒーのような濃厚な味わいを楽しめる。

INFO:
翠華餐廳(Tsui wah restaurant)
G/F & Cockloft 2 Carnarvon Road, Tsim Sha Tsui
Tel:(852)2366 8250

古き良き下町風情を感じる 街市(ガイシ)散策でローカルフードに出合う

香港では市場が地域ごとににあり、「街市」(ガイシー)と呼ばれている。マーケットには、乾物を売っている「ドライマーケット」と、フレッシュなものを売っている「ウェットマーケット」があるが、高級ホテルや金融企業などのオフィスビルが立ち並ぶビジネスエリアからちょっと路地裏を入ったところに、突然屋台が軒を連ねるストリートマーケットが広がっていたりする。近未来とレトロな雰囲気が交錯する意外性あふれる光景がいかにも香港らしい。

中環(セントラル)のハリウッド・ロードから目と鼻の先にある青空市場、嘉咸街(グラハム・ストリート)。19世紀末からこの地に市場が開かれていたとされ、すでに100年以上の歴史がある市場。通りには、野菜や肉などの食材や格安な服飾品や雑貨、アクセサリーなども売られており、通りを歩くだけで庶民の暮らしぶりが伺えるような、いろいろな物に出合うことができるだろう。香港の古き良き下町風情が漂う場所には活気があり、そんなところでちょっとした掘り出し物を見つけたりすればエキサイティングな気分になれる。

INFO:
嘉咸街(Graham Street)
Graham Street, Central
MTR中環駅D1出口から徒歩8分。ヒルサイド・エスカレーター・リンクを
結志街(Gage Street)を目印に降り、その通りを西へ。

妹記大排檔(Mui Kee Cookfood Stall )
香港風屋台で味わうB級グルメのディナー

屋台街のような下町風情を味わえる大衆酒場で本場の香港B級グルメをいただきたいところだが、少しローカル過ぎて気が引けるという人には金巴利道(キンバリーロード)の屋台風レストラン「妹記大排檔(Mui Kee Cookfood Stall ) 」を訪れてみるといい。店内には大きな黒板があってたくさんのメニューが書かれている。夜ともなれば大勢の会社帰りのサラリーマンで賑わう人気店だ。地元の食雑誌にも紹介されていて、豚や鶏料理、空芯菜の炒め物、スープ、海老もから揚げ、カニの炒め物、魚介料理など何を食べても美味しい。チンタオビールで乾杯して大勢でワイワイと食事を楽しめるようなカジュアルな雰囲気を満喫してみては。

香港のローカルグルメには、見ているだけで楽しくなるような陽気さと豪快さ、庶民的なあたたかさが感じられる。近代的な国際都市、香港のイメージとはガラリと違う。日本の田舎料理の素朴さはないけれど、親しみやすくて、人懐こいような愛すべきふるさとが、ここにもまた感じられるのだ。

INFO:
妹記大排檔(Mui Kee Cookfood Stall )
G/F, 45-47Kimberly Road, Kimberly Plaza, Tsim Sha Tsui
Tel:(852) 2721 2123

今年、最も注目されるディスティネーション香港の魅力を伝えるキャンペーン「香港スタイル」が2011年10月1日からスタート。ショッピング、ダイニング、ビューティなど、香港のおすすめの最新情報からローカルな穴場スポットまで多彩な魅力をお届けする。詳しくはこちらから!

香港政府観光局オフィシャルWebサイト  
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