kyouamecroche
うっとりするような美しい色合い。つるりとした小粒の可愛らしさ。口に入れて感じるほのかな甘み。目でみて楽しみ、触って親しみ、味わって感じる、"あめ(飴)"の世界。どこまでもレトロなのに、いつまでも親しみ続けられているお菓子の代名詞だ。

日本書紀にまで遡る飴の歴史を京の伝統と技術で磨き上げ、130年の歴史を重ねてきた京あめブランド「今西製菓株式会社」の四代目 今西政博氏は、「歴史ある京あめ文化をこれからのものに進化させたい」との想いから、今年2月に新しい京あめブランド「Crochet(クロッシェ)」をスタート。日本発の洋菓子をブランド化したことで有名な元アンリ・シャルパンティエのブランドマネージャー池村武彦氏とコラボレーションし、日本の伝統的な京あめの技術と、ヨーロッパはパリのファッションや絵画文化をバックグラウンドに持つキャンディの発色技術とを融合させ、京都とパリの四季を表現するモダンな京あめを創りだした。

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左:「ポンパドゥール」(525円税込み) ルイ15世の公妾として知られるポンパドゥール夫人にちなんだ商品。当時のロココ様式を生んだ芸術文化の庇護者でもあり、積極的にアジア様式のデザインを取り込んだスタイルは流行を生んだ。
右:「花浅葱」(525円税込み)ごく薄い藍色のこと。新選組が羽織で使用していた色として有名。


「紅葉手毬」に「源氏絵巻」、「アール・デコ」に「ポンパドゥール」。華やかで優雅なネーミングの商品は、季節によって変更はあるが、常時20種類が店頭に並ぶ。クロッシェの“京あめ”は、すべての色に意味が込められ、ひと粒ひと粒に色にまつわるストーリーがある。色の合わせ方にも、時代や世界ごとに流行や重ね方の規則がある。安朝の十二単の襲の色目、アールデコで飾られたドレス、芸妓の艶やかな襟元から、17世紀のヨーロッパ王宮の流行色まで、京都とパリをイメージし、さまざまな美しい色彩が京あめの上に表現されている。

京あめは、一つひとつが全て手作りで、小さな工房のある下京区綾小路富小路で生み出されている。それは京都で営々と紡がれてきた配合と技法を重ねるためだ。あめは、季節ごとの気温、湿度などの僅かな条件でも仕上がりが変わってくる。その微かな調整と配合を工夫するのが職人の技。京都の風土気候に合わせた材料の配合と組み合わせにより、京の地に合わせた個性をもったあめが生まれるのだ。手作りゆえの粗さもあり、同じ品でも季節によって“肌触り”や“風味”が変わってくるが、それもまた一興。一期一会、京あめの小宇宙との出会いを楽しみたい。


京あめ「Crochet(クロッシェ)」
京都市下京区綾小路富小路東入塩屋町69
Tel:075-744-0840
営業時間:10:30~19:00
定休日:季節により異なるため、詳細は店舗までお問合せください。