nineleaves
滋賀県は大津市石山のとある小さな蒸留所のこと。今年3月に酒造免許を取得して遂に7月、初回ロットが生産されたばかりの新しいお酒があるという噂を聞いた。何のことかと思ったら、ラム酒のことだという。

ラムと言えば、ミントを使った夏にぴったりのカクテル、モヒートが頭に浮かぶ方も多いはず。作家アーネスト・へミングウェイが愛したことでも知られ、ミントが放つ爽快な味わいと、口当たりの良さで、30代~40代の女性を中心に人気となり、最近では男女問わず、幅広く愛されるようになった。その他にも、キューバ・リブレやピニャ・コラーダなど、ラムは実に幅広いカクテルに使える便利スピリッツだ。

生まれたばかりの日本のラム酒、名前は「NINE LEAVES(ナインリーヴズ)クリア」。100%沖縄県多良間島産のサトウキビから作られた黒糖を原料(一般的なラム酒は、廃蜜糖を使うインダストリアルラムやサトウキビのしぼり汁を使うアグリコールなどがあるが、それとはまた違う味わいが生まれる)に、蒸留所近くの長石(ちょうせき)鉱山地下50mから湧き出る超軟水で仕込まれている。スコットランドの老舗蒸留器メーカー“フォーサイス”の蒸留器で蒸留を行い、添加物を一切使わない製法で造られていて、そのすべての工程を、創業者の竹内義治さんひとりの手で手掛けている。正真正銘の、日本人による、日本の黒糖と酵母と水で造った、純国産のクリアなラム酒だ。

ハードリカーの水先案内人に聞く、小粋なラムの愉しみ方。

ikiikこのNINE LEAVESに、いち早く目を付けたのが、原宿「IKI-BA(イキバ)」のコンシェルジュ今井達也さんだ。「IKI-BA(イキバ)」は、日本の「粋」をテーマに、各地の厳選食材や酒を楽しめるキッチンとライブラリーを併設した新しいコミュニケーション空間だ。元来、ラム酒をはじめとするハードリカーとウィスキーそして、シガーをこよなく愛する今井さんは、お酒やシガーをメインに日本の古き良き文化や粋なライフスタイルの水先案内人として、毎週木曜日の夜はこのお店のカウンターに立っている。
写真:原宿・IKI-BA(イキバ)

「ひと口飲んだだけで、これはまぎれもなく世界で通用するグローバルスタンダードなラムだと確信した」NINE LEAVESのことを今井さんは、そう言って太鼓判を押す。
niラムをあまり飲み慣れない人のために、どんな飲み方をすればいいのかたずねてみた。「まずは常温のストレートでその味わいを確かめてみてください。足付きのテイスティンググラスに30~40mm程度注いで、手のひらでグラスの口を閉じて数秒待ちます。グラスから少し手を離してみて、そっと香りを嗅いでみてください。これがNINE LEAVESの持つ香り。すずやかでフルーティでしょう。」確かに、言われた通りにやってみると、ふくよかで幸福な気持ちを誘う良い香りがする。「ひと口なめてみてください。まず舌の上に甘みがふわっと広がり、舌の上をころころと転がるようにして喉に流れていきます。アルコール度数の高いお酒ですので、最後に少し熱くなるような感覚を舌のうえに感じますので、チェイサーで飲み流してください。何度かそれを繰り返してみると、すずやかでやさしい香りが脳を刺激して、徐々に何とも言えない心地よさをもたらしてくれます。さて、どうです?」と今井さんはにっこりほほ笑む。

右:自宅でラムを気軽に愉しむ方法。まずレモンの皮を用意する。

「お酒をおいしく飲むためには、ちょっとした手間をかけることが必要」と語る今井さん。次に、自宅でも簡単にできる、おすすめの飲み方を教えてくれた。「用意するのは、レモンの皮です。指で潰すと皮のオイルがと飛びますので、それをグラスの外側につけてみてください。グラスの中のラムにレモンを入れてしまうとお酒自体の味が変わってしまいますが、外側にオイルを付けることで香りだけを加えることができます。」なるほど、試してみると感じる味わいが驚くほど変わっていて、まるでマジックのように、飲みやすくなっている。残暑が厳しい時期にもぴったりの爽やかな味わい。ぜひ試してみて欲しい。

創り手が語る。
日本のラム酒造りへの想い、ものづくりの魂。


国産のお酒のイメージとはかけ離れた小粋なNINE LEAVESだが、スタイリッシュなボトルはフランス製だ。アイコニックなボトルキャップはオリジナル。ラベルは、シンプルで無駄のないミニマルなデザインのロゴマークが新感覚だ。一般的に無色のラムは"ホワイトラム"と呼ばれるが、敢えて"クリアラム"と名付けられたのは、ピュアで混じりけのない様が魅力的だから。そこがまた、日本人の心意気である"潔さ"に通じる気がして、ちょっと誰かに自慢したい気持ちにさせられてしまう。

ところで、そもそも日本産のラム酒とは珍しい。NINE LEAVESを手掛ける竹廣株式会社ナインリーヴズ蒸留所の創業者竹内さんは、祖父の代から続く大手自動車メーカーの自動車内装部品会社で製造や営業を担ってきた。まったく経験のない畑違いの酒造り。しかも日本ではそれほどなじみのないラムに可能性を見出したのはなぜだったのだろうか。竹内さんはこう語る。

「最初から最後まで、自分の思いと目が届く完成品を作ってみたい。それがNINE LEAVESの出発点です。ラムを選んだのは、日本で競合する国産銘柄が少なく、これから伸びる可能性を秘めていると考えたからです。」


清らかな水、やわらかく反射する光、造り手のまなざし。そういうものを手の内に感じながら味わえるお酒は、やはり国産に限る。しかし和か、洋かという領域を超えて、誰かが混じりけのない想いを込めて生み出したものは、それぞれに好みの差はあっても、どこか呑む人の心ふるわせる強さを秘めている。

IKI-BAの今井さんいわく、NINE LEAVESは来年、再来年と熟成を重ねるのが楽しみな一本のひとつだという。「クリアな状態でおいしくなければ、熟成させてもあまり期待はできません。ラムは、ウィスキーのように樽で寝かせるとブラウンやゴールドに輝きだす。そのうちに、まろやかさやフレーバーがより複雑に混ざり合い、さまざまな表情をみせてくれるでしょう。」NINE LEAVESがこれから先、どんな表情をみせてくれるのかが非常に楽しみだ。お気に入りのラムを家に常備して、しばらくこの密やかな楽しみに没頭したい。


INFO:
NINE LEAVES(ナインリーヴズ)クリア 
竹廣株式会社 ナインリーヴズ蒸留所
滋賀県大津市石山平津町字平津西山 603

INFO:
原宿「IKI-BA(イキバ)」 
東京都渋谷区神宮前3-21-17
Tel:03-6447-2457
営業時間:火~日 ランチ・ディナー 11:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:月曜日

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