自由でエフォートレスシックな風が吹くサンフランシスコ。そこに暮らす人々の多くは、生活に彩を添える室内グリーンのあるライフスタイルを送っている。「好きな植物を取り集めて部屋に飾ってみるだけで、自分らしさって現れるものなんです。」そう話すのは、Tumbler & FLOWERSのいけばな教授者 渡来徹さんだ。

写真上：渋谷・神宮前にある「Tumbler & FLOWERS」。

渡来さんは、9月18日（木）～30日（火）に新宿 ルミネ2で開催される「Banana Republic（バナナ・リパブリック）」の期間限定POP UP SHOPにて、植物のキュレーションを担当した。白木をベースにした店内の随所に、モダンなプランターに活けたさまざまな種類の多肉植物をあしらい、バナナ・リパブリックのモノクロを基調としたスタイリッシュなフォールコレクションと都会的な男女の暮らしには欠かせないグリーンの世界観を融合させてみせた。

暮らしに彩を添える室内グリーン。POP UP SHOPのオープンに先だって、そのエッセンスを学ぶために渡来さんが運営するTumbler & FLOWERSを訪れた。
渡来さんは、小原流のいけばなをもとに、雑誌のライター／編集者として培ってきた経験や時代感をプラスして、今の生活空間にも活かせる"いけばな”の"かたち”を教えている。

写真：いけばな教室に花屋が併設されている。

レッスンでは、器のサイズ感と花材の見方や扱い方、作品全体としての空間の捉え方など、いけばなの基本を教わった。いけばなのメソッドが暮らしの中でどう役立つのか、一見分かりにくいようだが、渡来さんのいけばなに対する考え方やお話を聞いているうちに、自分の好きなものや気に入ったものを、肩の力を抜いて生活空間に取り入れていく方法や、自分らしさを"かたち”にすることで得られる満足感について教えられていく。

「いけばなは、自分が好きな花をよく観察し、どのような個性を持っているのか見極めることから始まります。そして自分が気に入ったポイントをいかして"かたち"にしていく。ひたすら好きなものを選び、取り合わせる、その取捨選択を繰り返してひとつの作品にまとめていくことなんです。
最近は、有りものやテイスト切りしたようなパッケージ商品ではなく、自分でセレクトしたものを組み合わせて、その人らしいスタイルで暮らしをコーディネートする人が増えていますよね。部屋のインテリアのコーディネートにしても、料理においての食材の取り合わせにしても、自分が好きなものを"かたち"にする満足感で暮らしを彩ってみたり、肩肘をはらず、何にも捉われず、好きなものや気に入ったものを取り合わせて飾ってみたりする。それができると、たとえその有り様が雑然としていたとしても、その人なりのスタイルが立ち現れてくるものです。」と渡来さんは言う。

好きなものを集めて、さっと取り合わせてみる。本来そのやり方に正解はないのだが、いけばなを通じて、バランス感覚や空間に対するセンス、美意識を磨いていくと、「こういう合わせ方もありなんだ」というように、自分の中の引出しを増やすことができてくる。すると、自然と暮らしの中にエフォートレスな居心地のよい風情が生まれてくる。借り物ではない、自分流の暮らしを愛しむ気持ちが毎日をより一層豊かなものにしてくれる。いけばなや室内グリーンは、そのきっかけになるのではないかと渡来さんは考えている。

写真左：POP UP SHOPでは、渡来さん自らがペイントしたポットに入ったさまざまな種類の多肉植物を、サンフランシスコにまつわる小物類とともに販売する。

「今回バナナ・リパブリックさんのPOP UP SHOPのボタニカルワークでお伝えしたいことも、同じことなんです。自分の家に飾りたいなと思うグリーンを手に取って、実際に部屋に飾ってみる。自分なりのやり方で、暮らしに室内グリーンを取り入れてみてはどうでしょう、というのが私から皆さんへの提案です。自分の家に飾りたいと思っていただけるような、グリーンのある空間を感じていただければ幸いです。」と渡来さん。

9月20日（土）には渡来さんも店頭に立ち、多肉植物と鉢のコーディネート提案や、植え替え、アレンジ方法などを直接来店した人に伝授する。ぜひこの機会に足を運んでみてはいかがだろうか。