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滞在のハイライトとなる食事は、抱いていた期待を遥かに超えるものだった。料理は、地産地消を基本とし、高級食材に加え、野菜やお米も近郊のものを用いるようにしている。 料理長を務めるのは、東京・広尾やパリの「レストランひらまつ」で研鑽した、今村将人氏。地元の農家や漁師たちとのコミュニケーションを深め、新しい食材と出会い、それをどうゲストに供するか考えるのが楽しいと声を弾ませる。

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(写真)メインダイニング。

伊勢志摩は「御食つ国(みけつくに)」と呼ばれ、古くから皇室や朝廷に食材を献納してきた食の宝庫。伊勢海老や鮑、ふぐなどの豪華食材も豊富だ。これが、「食」のひらまつが、この地を、ホテル進出の場所に選んだ理由でもある。夕食、朝食ともに食事は、個室ダイニングルームで提供。本館の1階に大小異なる7室の個室があり、プライベート感覚で、ひらまつ自慢の料理に舌鼓が打てる。カトラリーは、フランスの銀器の老舗「クリストフル」のものを使用。また、やはりフランスの高級バター「エシレバター」が供される。同ホテルの女将で、料理長の将人氏の夫人でもある美穂氏は、「フランスの文化を存分に体感してほしい」と語る。

フレンチをべースに、料理のジャンルに捉われず、
自由な発想で至高の一品を届ける。


ryoriさて、お待ちかねの夕食だ。veritaが訪れた晩秋は、「鮑のカルパッチョ仕立て 京大根」(写真右)、「名古屋コーチンのコンソメ 腿肉のグリエ」といった、魅力あふれるメニューがラインナップしていた。メイン料理といっていい「伊勢エビの炭火焼き 香味野菜のブールブランソース」は、外は炭火焼の香ばしさが味わえるが中はほぼレアという絶妙な焼き加減で、素材が本来もつ美味しさを存分に味わえるものだった。一口食べて上質なバターを使っているであろうことがわかるブールブランソースも伊勢エビのポテンシャルを引き立てる。伊勢エビもきっと本望であろうと、勝手な妄想をしてしまうくらいの完成度の高さだ。「松阪牛サーロイン 実山椒の香り 海老芋」もジューシーで程よい油加減。すっかりお腹は満たされていたが、ぺろりと食べてしまう。料理はフレンチをベースとしながらも素材によっては和やイタリアンの手法も取り入れている。ごろごろとしたサザエが鮮烈な印象を放つ「サザエのフリカッセ パセリ風味 トマトのコンフィーとペンネ添え」もそのひとつだ。
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(写真)伊勢海老のグリエ。食材は、その時期に旬を迎える産地から仕入れる。


洗練されたひらまつの朝食で迎える、極上のモーニング。

夕食はもちろんだが、朝食も白眉だった。焼きたてのパン、そして、「アラン・ミリア」のジャム。また、ジャムとともに奈良県産のはちみつも供される。これだけでじゅうぶんなご馳走だが、パンに添えられた、名古屋コーチンryori2のリエットも一層食欲を刺激する。カプチーノ仕立てのかぼちゃのスープ、地野菜のサラダ、ウフ・ア・ラ・コック(半熟たまご)、松坂ポークなど、ほかにも魅惑的なメニューがずらりと並ぶ。
なお、料理は伊勢志摩をはじめ近郊のものを使った地産地消をベースとしながらも、禁漁の時期や旬を外れるものに関しては、地のものにこだわらない。30年以上にわたってレストラン経営を手がけてきた、ひらまつのネットワークを使い、各地からその時期もっともクオリティーの高いものを仕入れていくそうだ。

30余年の歴史に裏付けされたひらまつの安定したホスピタリティと質の高い料理、そして、徹底的にこだわった建物やインテリア──。ひらまつと、賢島という場所の特徴が見事に融合し、五感で「極上」が味わえる、唯一無二の桃源郷を作りあげた。熱海、そして、箱根はいったいどんな宿になるのだろうか。土地の個性をいかした、ひらまつのスモールラグジュアリーなホテルづくりから目が離せない。

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ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 賢島
三重県志摩市阿児町鵜方3618-52
交通アクセス:賢島駅まで、近鉄名古屋駅から近鉄特急で約2時間10分、大阪難波駅から近鉄特急で約2時間40分 最寄り駅「賢島駅」より送迎の用意あり
Tel:0599-65-7001
客室数:8室

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