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2018年2月20日(火)、東京・四谷の迎賓館赤坂離宮(以下、赤坂迎賓館)にてファッションデザイナー桂由美(株式会社ユミカツラインターナショナル)が、日本が世界に誇る伝統工芸技術を駆使して制作した着物やドレス62点を一堂に集めたファッションショーを開催した。 国宝の赤坂迎賓館でファッションに関するイベントが開催されたのは今回は初となる。また、名工による手描き友禅や、手刺繍の実演の一部を紹介し、こうして制作されたドレスと着物16点の展示が「彩鸞(さいらん)の間」にて行われた。

(写真上)鈴木其一の絵画のモチーフを取り入れた打掛が見事な着物は、昨年のパリコレクションで好評を博したドレスからアレンジしたもの。

katsurayumi2 会場となった赤坂迎賓館は、1909年(明治42年)、かつて紀州徳川家の江戸中屋敷があった敷地の一部に東宮御所として建設されたもので、当時の日本の一流建築家や美術工芸家が総力を挙げて建設した日本における唯一のネオ・バロック様式の西洋風宮殿建築で、戦後日本のおける海外からの賓客を接遇する施設とした1974年(昭和49年)に迎賓館として開館して今に至る。

今回、赤坂迎賓館で開催となった東京グランドコレクションのテーマは、「BEYOND EAST & WEST”(東洋と西洋を超えて)」。桂由美は、赤坂迎賓館での自身のファッションショー開催について次のようにコメントした。「40年前の1978年に、初めて迎賓館を見せてもらう機会があり、いつかはここでファッションショーをやってみたいと思っていましたが、やっとその念願が叶いました。」桂由美は、1964年より日本初のブライダルファッションデザイナーとして活動。日本におけるブライダルファッションの第一人者であり、草分け的存在だ。西洋のウェディングドレスを日本に紹介し、近年はヨーロッパで友禅染や絞り、手刺繍の技術、また絵画の世界からは尾形光琳、伊藤若冲、俵屋宗達、鈴木其一らのモチーフをドレスに取り入れたファッションを披露し、フランスのパリコレクションで好評を博した。今年のコレクションでは、葛飾北斎の「富嶽三十六景 凱風快晴」や、北斎に影響を受けたとされている西洋の印象派画家、モネ、ゴッホ、アンリ・リヴィエールなどの巨匠のモチーフを友禅染や手刺繍で制作した新作も披露され、ひときわ目を引く存在感を放った。
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(写真左)アンリ・リヴィエールの「風」を北斎の「諸国瀧廻り」「下野黒髪山きりふりの滝」が融合したドレス。(写真右)手描友禅に刺繍を加えた「富嶽三十六景 神奈川沖波裏」をレースにアップリケしたテイアードドレス。

桂由美は、ヨーロッパにおける日本ブームについて次のように言及した。「現在、世界は日本ブームで、「ジャポニズム」が注目されています。これを一過性のものにするのではなく、日本の文化を世界へ発信していくことこそ、われわれ日本人デザイナーのやるべきことと考えております。今回のショーは私事ではなく、日本人デザイナーの使命として取り組みました。」
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YUMI KATSURA 東京グランドコレクション「BEYOND EAST & WEST ~日本の伝統工芸技術の革新と創造を世界へ~」より

観客として訪れたアジア・クチュール協会創始者代表のドクター・フランク・シンタマーニ氏は、ショーの感想を次のように述べた。「この50年間にわたり、デザイナー桂由美は、日本と世界を結ぶ重要な文化的架け橋であり続けている。彼女は、着物を着るという日本の文化を継承していくと同時に、西洋のウェディングドレスを日本へ紹介するということを生涯の使命としてきた。今日の彼女のコレクションは、デザイナー桂由美の全人生の作品を体現していた。」

今回の東京グランドコレクション「BEYOND EAST & WEST ~日本の伝統工芸技術の革新と創造を世界へ~」に続き、夏にパリで開かれるパリオートクチュールコレクションにも参加するという。桂由美が発信する日本の伝統工芸技術と西洋ファッションの融合した新作に対する世界の反応も楽しみだ。
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