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5、6年前から、工業系ライトの流行がリバイバルしている。自分もアングルポイズのオリジナルや、旧ナチス軍が使用していたドイツのスタンドライトなど、工業系のデザイン、いわゆるインダストリアルデザインに魅了された時分があった。 その熱が、今また再燃し出したのだ。

今、一番気になっているのは、日本の照明だ。照明のスペシャリストではないので各パーツの詳細については明るくないが、純粋に惹かれたのは、やはり各々のパーツが持つ独特の雰囲気。そしてそれらを組み合わせていく感覚が、まるで子どもの頃に部品を組み立てて作ったロボットで遊ぶような、あの懐かしい愉しみを、心によみがえらせてくれるのである。

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電傘 戦前の日本製
ソケット 1920年代フランス製


今回紹介する電傘は、戦前の日本製。それに、1920年代のフランス製のソケットを取り付けてみた。コードは、電傘に比して細身を選び、あえて長めにレールから垂らし、低い位置でテーブルを照らすようにセッティング。これがちょうどいい塩梅だ。自分好みにパーツを組み合わせて、イメージ通りの照明が完成した。

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戦前のこの電傘の良さは、半円のカーブの美しさにある。このカーブが浅くても、深くても、どうもしっくりこない。乳白色のガラスは、揺らぎのある明かりを生み、当時この明かりが照らした食卓の風景を思い描かせる。電傘とソケットをアジャストする円盤上の錆びた金具、不自然に余っているネジの長さも、またひとつの味わい。

電傘のデザインのトレンドを追うと、戦後はプラスティック製のものが主流になり、より色彩的、より装飾的なものへと変化していった。“昭和レトロ”と呼ばれる趣は、このあたりのものからになるだろう。今回の電傘は、レトロよりもずっと古い。しかし、今の暮らしにも意外と馴染んでいたりする。

電傘、ソケット、コードと、さまざまなパーツを探し出し、組み立てて、デザインする面白さ。そこに子どものおもちゃのように説明書はないけれど、自由な発想で自分の好みを追求してみる。今回は、うつわや骨董品の話からは離れてしまったが、そんな遊び心を込めた明かりを暮らしに灯してみることも、古きよきものを愛する心の有り様に、似た愉しみがあると思うのである。




≪ NAVIGATOR プロフィール:坂本大 ≫
1987年生、佐賀県唐津市出身。大学在学中にロンドンへ留学。大学卒業後、現代アートのギャラリー勤務を経て、現在、唐津焼の専門店「一番館」の東京支店にて、好きな焼き物に囲まれながら、GALERIE AZURマネージャーとして勤務している。

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