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あなたは、チュニジアと聞いて、何を思い浮かべるだろうか。

2018年秋、筆者はチュニジアに行く機会を得た。旅立つ前、友人や知人に「今度、チュニジアに行くの」と伝えると、ほとんどの人からは、「何があるの?」「どこにあるの?」というほんの少し戸惑いを含んだ答えが戻ってきた。 チュニジアに関する知識がないので、答えようがないのだ。筆者もその一人だ。「チュニジア出身の有名人は?」と問われても、誰一人として思い浮かばない(ファッションデザイナーのアズディン・アライアがチュニジア出身ということは、チュニジアに行くことになってから、googleで検索して初めて知った)。

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(写真)城壁に囲まれた、チュニジア第2の都市・スファックスのメディナ(旧市街)。城壁は9世紀半ばに作られた。

前置きが長くなったが、実はチュニジアはオリーブオイルの一大産地なのだ。
「え、チュニジアのオリーブオイル? 聞いたことない」
「オリーブオイルって、地中海沿岸のイタリアやスペインのイメージが強いのだけど」
そんな声が聞こえてきそうだが(わかります、私もそうでした)、チュニジアのオリーブの栽培面積はスペインに次ぎ世界第2位。国土の約30%がオリーブオイル畑で、同国の農業従事者の半数以上はオリーブを栽培しているという。オーガニックのオリーブオイルの産出量に至っては世界最大なのだ。

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(写真)CHO社のオリーブオイル。「テラ・デリッサ(エリッサの地)」という商品名は、紀元前814年にカルタゴ(現チュニジア)を興した、オリーブオイル抽出を地元の文化として発展させた、エリッサ女王にあやかってと名付けられたものだ

イタリアやスペイン、そしてギリシャでもたくさんのオリーブが獲れる。しかし、意外と知られていないがその地中海をはさんで北アフリカ側に位置するチュニジアもオリーブの一大産地だったりする。しかもとびきり良質の。今回、そんなチュニジアのオリーブオイル畑を訪ねた。

チュニジアは、1年365日のうち330日以上が晴天だという。加えて半砂漠性気候で塩性土壌と、植物にとっては過酷な環境だ。しかし、最近になって、筑波大学とチュニジアの研究機関との共同研究により、厳しい条件下で育ったチュニジアのオリーブはヨーロッパ産のものと比較し、約10倍のポリフェノールを含むことが実証された。

それなのになぜ、チュニジアのオリーブオイルは知名度が低いのか。聞けば、チュニジアで生産されたオリーブオイルの8割は、イタリアやギリシャ、スペインなどに輸出され、イタリア産やギリシャ産のオリーブオイルと混ぜられ、イタリア産やギリシャ産のオリーブオイルとして販売されているというのだ。チュニジア国内のシェア率80%を誇る、オリーブオイルメーカー「CHO(チョー)」の担当者によれば、「日本のみなさんもきっと知らないうちに、チュニジアのオリーブオイルを口にしているはずです」。たしかにそうかもしれない。しかし、数年前から、良質なチュニジアのオリーブオイルにもっと誇りを持とうという動きが出てきた。その結果、チュニジア産のオリーブオイルだけを瓶詰めした商品の輸出の数が増えつつある。
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(写真)左:メディナで「デーツ(なつめやし)を売るおじさん。あまりなじみのない果実と思うかもしれないが、実はお好み焼きやとんかつソースの原料として使われていることも少なくない。右:メディナで売られていた、鮮やかな色合いのお皿。1皿100円強くらいで、叩き売りされており、思わず購入してしまった。

今回、筆者は、CHO社の本社とオリーブ農園がある、首都チュニスから約240km南の港町、チュニジア第2の都市スファックスを訪ねた。その模様は次項へ。

text/Aya Hasegawa
取材協力/テラ・デリッサ(TERRA DELYSSA)
購入場所/正規輸入代理店「リルココ」(https://lilcoco.jp/blog/terra-delyssa/)ほか、amazon、コストコなど。

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