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オリーブの産地といったらどこを思い浮かべるだろうか。2018年秋に、世界的オリーブの一大産地である北アフリカ・チュニジアにオリーブを摘みに行った時のことは、こちらの記事でご紹介した。そして2019年秋、今度は香川・小豆島のオリーブ畑に出向いた。 日本国内のオリーブの産地といえば、やはり小豆島。瀬戸内海に浮かぶ小豆島では、国産オリーブの90%以上が生産されている。圧倒的なシェアだ。小豆島に初めてオリーブの苗木が植えられたのは明治時代後期の1908年にさかのぼる。鹿児島・三重・香川の3県に試験的に植えられ、唯一根付いたのがここ小豆島だったという。

今回は1940年(昭和15)年創業の「井上誠耕園(いのうえせいこうえん)」でオリーブの収穫体験を行った。現在、約5,000本のオリーブと14種類の柑橘を育てている「井上誠耕園」では終戦の翌年からオリーブの栽培を開始。初代園主が家の裏のどんぐり畑を開墾し、56本のオリーブを植えたのがはじまりだった。

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オリーブオイルもオリーブも1年中、入手することができるが、じつはオリーブにも旬があるのをご存知だろうか。小豆島では、9月中旬から12月上旬にオリーブの収穫期を迎える。その期間、「井上誠耕園」ではオリーブの収穫を体験できる「農業体験」を実施しているのだ。ほかにも季節ごとに「ハーバリウム作り」「マイオリーブオイルづくり」「みかん狩り体験」などのアクティビティを開催していて、さまざまな体験ができる。詳細は公式HPをチェックしてほしい。

さて、オリーブの収穫を体験したのは、海を望む南向きのオリーブ畑だった。ここがなかなか経度のキツい斜面だったりする。最初は歩くのにも四苦八苦したが、数分足らずでだいぶ慣れてきた。オリーブの樹は、大きいものでは3~4mあるため、高いところになっている果実は脚立にのって収穫する。海外では機械を使って木を振動させ、一気に実を落としたり、熊手のようなものでそぎ落とすのが一般的だが、「井上誠耕園」では実を傷つけないようすべて手摘みで収穫を行っている。オリーブは繊細で、傷が付くとそこから酸化が始まってしまうためだ。

オリジナル前掛けを着用し、前かけのポケットに収穫したオリーブを入れていく。ある程度たまったらケースに移すのだが、だんだんとコツがつかめてくるのが楽しい。穏やかな瀬戸内の海を眺めながらの作業も気持ちよく、気づけばあっという間に1時間が経過していた。
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収穫したオリーブは「選果小屋」に運ばれる。収穫したオリーブを色や大きさ、熟度や傷の有無によって選別するのだ。果実に傷が入らないようにと、台には毛布を敷いて作業しているのが印象的だった。通常は8段階のカラースケールを基準に選果しているが、今回は季節限定の「新漬け」の候補になる傷がない果実を選果した。収穫の時期が限られる美しい緑色の若々しいオリーブは、塩水に漬けて浅漬けに加工され、期間限定の「小豆島産新漬けオリーブ」として販売される。細かな選果には、「色も熟度も違うオリーブ一粒ひとつぶに適した用途で一番いい製品にしてあげたい」という気持ちが込められている。果実の用途はさまざまだが、大まかには緑色の果実の中でも傷がなく、基準以上の大きさがある果実が新漬け、それ以外が緑果オイル、完熟した赤や黒の実は化粧用のオイルに使われるそうだ。

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その後は「搾油工場」へ。オリーブの果実は洗浄後、粉砕機でペースト状に粉砕し、攪拌。遠心分離機で水分と油分に分けられる。搾油機からは油分のみを取り出したものがとろっとしたたり落ちてきた。周辺には芳醇でさわやかな香りが漂っていた。搾りたてのフレッシュなオリーブオイルを試飲させてもらい、出来立てのオリーブオイルの新鮮な苦みやコクのある味わいを実感する。果実を搾っただけで、上質なオイルが採れるオリーブの果実の恵みに改めて驚く。ちなみに搾油した後の搾りかすにも豊富に抗酸化成分が含まれていて、堆肥や、香川県のブランド牛「オリーブ牛」や、井上誠耕園がブランド豚として販売している「オリーブ緑果豚」の飼料などに使用しているという。

収穫体験が終わったあとは、お待ちかねのランチタイムだ。オリーブ畑から車で数分の「らしく園本館」へ移動後の様子は次のページでご紹介

text/Aya Hasegawa
取材協力/井上誠耕園

information


inoueoliveinfo井上誠耕園

所在地:香川県小豆郡小豆島町池田2352
Tel:0120-75-0213




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