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東京には、フレンチレストランが約1,280軒もあるという。その中から秀逸な一軒を見極めることは至難の業といえる。味・雰囲気・コストパフォーマンス…、欲張りでわがままな人種である女性たちの高いハードルをすべてクリアできる一軒といえるのが、半蔵門にある『ARGO(アルゴ)』だ。 意外なロケーションだが、この地は皇居のお膝元。つまり、ランチであれば緑豊かなお濠を、ディナーであれば東京タワーをはじめとする煌く都心の夜景を望みながら食事を楽しむことができるのだ。

(写真上)ランチコース・ディナーコースよりメイン。骨付き仔羊背肉のロースト、マロンピューレと椎茸のマントノン風添え、柚子こしょうのソースと共に

アルゴ総料理長である山下敦司氏は、フランス滞在の5年間で『ピエール・ガニエール』、『トロワグロ』、『オーベルジュ・ド・レリダン』、『ル・ディヴェレック』、『ル・クロー・ドゥ・ラ・ヴィオレット』など、ミシュラン常連のレストランで修行を積み、帰国後はフレンチ料理教室の最高峰として知られる『ル・コルドン・ブルー日本校』で講師として後進たちを指導してきた。つまり、フレンチをとことん知り尽くした人。その華麗な経歴を生かした一皿には、氏の持てる技術とセンスが思う存分盛り込まれている。

こだわりは、まず器に感じられる。書道で使われる硯石、車のフロントガラス、住宅用の大理石など、料理の世界とはほど遠いマテリアルを用いて、器の概念をくつがえす器をつくり上げてしまうのだ。フレンチでありながら和のたたずまいも感じさせるナイーヴな料理、斬新な器、空間、それらが三位一体となって小さな宇宙を生み出し、ひと際美しく輝く。また、ソースの90%は野菜のブイヨンでつくられているため、コクがありながらスッキリとした口あたり。ヘビーになりがちなフレンチも軽やかに楽しむことができる。「他にはない料理、他の人ではできない盛り付けにこだわっている」という、山下氏の世界観を知るためにも、コース料理は必食だ。

アルゴコース料理をさらにグレードアップさせたい人には、見島牛の一皿がおすすめ。山口県萩市の孤島で飼育されている天然記念物で、外国種と混血していない正真正銘の和牛は、年間12〜13頭しか出荷されない希少価値の高いもの。ほとんどお目にかかることのできないこの牛肉を『アルゴ』では毎月半頭買いしているため、日常的に楽しむことができる。プラス¥7,000で、通常ディナーコースの肉料理を見島牛に変更可能というから見逃せない。これも、山下シェフの料理への熱意とその技術によって実現したこと。細かいサシはもちろん、極上の赤身も同時に堪能できる究極の牛肉を、この機会にぜひ。

併設のライブラリーカフェには、世界各国から集められた“視覚だけでなく五感で感じられる書籍”が1,000冊も! 紅茶やワインを飲みながら、ゆったり読書に没頭するもよし。多忙な毎日で澱みがちな感度を磨き直してくれるインテリジェントな大人の美食空間だ。

(写真左下)ランチコース・ディナーコースより アミューズ3品(右)「5種のナッツの衣をつけた里芋のフリット、サバの燻製ほうれん草包み、みそのムースと共に」(中)「アオリイカと旬の野菜のゆずゼリー寄せ、ロイロムと共に」(左)「3色豆腐」(ビーツ、ゆず、春菊)

(写真左下)ランチコースより 前菜「アオリイカと野菜のゼリー寄せ、北海道産旬のサンマと共に。季節の野菜サラダとアグリュームドレッシング」

(写真右下)エジプトを表現したパティシエ渾身のデザート。ラズベリーソースをナイル川に見立て、ピラミッドの側面にはヒエログラフで『アルゴ』と書かれた芸の細かさ 「栗と紅茶のピラミッド、ヒエログラフの模様、金箔に包まれたグラスヴァニーユと共に」 \\1,800


text/miho sasaki、photo/chikahito nagai 

restaurant information


アルゴアルゴ

住所:東京都千代田区麹町1-4-2 ONE FOUR TWO 9F
Tel: 03-3265-5504
営業時間: ランチ 11:30〜14:00
ディナー 18:00〜21:00
ライブラリーカフェ 11:00〜23:00
定休日: 日曜

東京メトロ半蔵門線半蔵門駅より皇居方面へ。内堀通り沿いにある複合施設『ONE FOUR TWO』の9F