和ペリティーヴォな教会
とにかくよく眠る。8時間は眠る。昼寝ができる日であれば、更に2時間眠り、合計10時間眠る日もザラである。そんな暇があったら、もう少し早く原稿を書いてくださいと言われそうだし、そんなに眠ると脳によくないと言われたこともある。

しかし、眠ることが3度の飯よりも好きな僕にとっては、こればかりはどうしようもない。

(写真上)石の教会として知られるテンぺリアウキオン教会のように、石の持つ暖かい空気感に癒されることもあります(フィンランド)

和ペリティーヴォな教会中でも至福の眠りは、やはり昼寝となる。太陽の光を感じながら、まどろんでいく昼寝の幸せは何ごとにも代え難い。これは昼間にビールを飲む幸せに近いのかもしれない。スペイン語圏のシエスタ(昼寝)の文化は、人生を豊かに生きている人達に欠かせない風習なのだと思うことさえある。

昼寝の場所も幸せ度に関わってくる。もちろん自宅のベッドもいいが、今の季節だったら、公園の木陰で木を背にして眠るのも気持ちイイ。そして、セカイサンポの旅の途中で、こうした昼寝の場所に教会が加わった。「教会はそんな場所ではない!」と怒られることも重々、承知である。僕も最初は眠ろうと思って入っていたわけではない。ステンドグラス、壁画、彫刻、建築など芸術としての教会を楽しんでいた。しかし、教会の空気に馴染み、椅子に座ると身体はリラックスモードへ移り、目を瞑り教会の空気を感じているうちに、いつしかまどろんでいくようになっていた。

(写真左)階段の上の教会まで辿り着かず、教会の前という安心感で芝生の上に寝てしまいました(スペイン)

フィンランドやリトアニアなど冬の寒さが厳しい街の教会だろうが、西アフリカのブルキナファソなど40度を超える過酷な暑さの街の教会だろうが、気持ちよさはどこも変わらない。

和ペリティーヴォな協会どんなに殺伐とした気持ちになっていても、教会の中に一歩、足を踏み入れた人達は皆、どこか安らかな気持ちになるのではないだろうか。きっとこんな気持ちを世界中の人達が同時に持ったら、もっと平和な世の中になるのになぁと思いつつ、今日も世界のどこかの教会で僕は昼寝を貪るのである。ちなみに僕はクリスチャンではなく、先祖代々、浄土真宗である。

(写真右)教会の結婚式に出会い、幸せをおすそわけしていただくこともあります(リトアニア)
イシコ

イシコ

1968年生まれ。ホワイトマン代表
大学卒業後、女性ファッション誌編集長、Webマガジン編集長を経て、期間限定のホワイトマンプロジェクトでは白塗りで様々なコンテンツを生み出す。現在は「セカイサンポ」と称し、文字通り世界を散歩中。散歩の達人の連載コラムなどコラムニストやブロガーとしても活躍している。

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