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ワールドカップや韓流ドラマのおかげか、すっかりポピュラーになった韓国料理。とはいえ、焼肉、キムチ、ビビンバなど、ホットでスパイシーな料理のイメージしか持っていないのが現実かもしれない。そんな日本人が考える韓国料理のイメージを覆す一軒が、麻布十番にオープンした。

(写真上)クジョルパン(九折板)/すべてのコースより クジョルパン=九折板という料理名の通り、小麦粉で作った小さな生地とナムルやしいたけ、キクラゲなど8種類の材料を包んでいただく。9は韓国で縁起のよい数字といわれ、お祝い事には欠かせない韓国宮廷料理のひとつ 

ソソンジェ韓国家庭料理店『 素饍齋 (ソソンジェ)』がソウルの高級住宅街・三清洞(サムチョンドン)に、知る人ぞ知る一軒としてオープンしたのはわずか4年前。今までの韓国料理とは一線を画した上品で繊細な味わいは、ソウルの美食家たちはもちろん、日本人ツーリストやキャビンアテンダントたちの間でも評判となり、満を持しての東京進出となったのだ。

(写真左)山にんにくの葉と蒸し豚のポッサム / 素饍齋 コース\\6,000、 素饍齋 スラッカンコース\\8,500より ゆで豚をキムチなどといっしょに野菜で包むポッサム。 素饍齋 では、韓国・ウルルン島に自生する山にんにくの葉をしょうゆベースのたれで漬け込んだもので包む。ほのかなにんにくの香りと香ばしいしょうゆ味が、ほどよく脂の落ちた豚肉とマッチする 

オーナーであるキム・インス氏は、もともと家庭の主婦。新聞記者であり、自然保護活動家でもあるご主人が野山で摘んできた野草を食材として取り入れた「摘み草料理」など、家族の健康を考えたレシピを作り続けてきたそう。

ソソンジェ薬用としては珍重されていた野草を料理として完成させたのはキム氏が初めてであろう。そして、ご主人の定年退職をキッカケにお店をオープンさせた。だから、メニューは家族に作っていた料理ばかり。素材へのこだわりはもちろん、調味料も10年熟成させた味噌や酵素で発酵させた薬味などすべて手づくりのものを使用した“オモニ(お母さん)の味”だ。

(写真右)テンジャンチゲ/すべてのコースより 10年熟成の手づくり味噌で仕上げた、具だくさんのテンジャンチゲはおなかの底から温まる一品。具材は魚介や野菜など日替わりなのも楽しみ。奥深い辛さに病みつきになること必至(※スープは月替わりとなります) (写真右)石釜ご飯/ 素饍齋 コース\\6,000、 素饍齋 スラッカンコース\\8,500より 季節の素材をいっしょに炊き上げるご飯。写真は、なつめ、ぎんなん、栗などがゴロゴロと入った雑穀ごはんで、甘くて、ふっくらもちもち。取り分けたら、石釜にお湯を注いで蒸らし、おこげもお粥風にしていただく(※ご飯は月替わりとなります)

メニューは、家庭料理を懐石料理風にしたコースのみ。これは、お酒を飲みながらゆったりと食事のひとときを過ごしてほしいという思いから。

ソソンジェたとえば、人気の 素饍齋 コースは、季節の根菜を使ったオードブルや季節野菜のお粥に始まり、山にんにくの葉で巻いて食べる蒸し豚のポッサム、石釜で丁寧に炊かれたご飯、テーブルいっぱいに並ぶ韓国惣菜、そして最後は特製味噌で作ったチゲでしめくくる。かなりボリュームがあるように思えるが、体にやさしく、カロリーも控えめなものばかりなので安心して楽しめる。日本の旬の素材を生かしつつ、本国のレシピを忠実に再現した新感覚の韓国料理と言ってふさわしいだろう。

(店内)木のぬくもりの中にモダンさもプラスしたインテリアたち。ゆったりとしたソファやクッションなど細部にこだわり、大人がくつろげる雰囲気を実現。カウンター、テーブル、個室は、用途に合わせて使い分けたい。カトラリー類もセレクトされたハイセンスなもの 

まるで韓国の家庭に招かれたような雰囲気の中で、ゆったりと“オモニ”(お母さん)のやさしい味を堪能する。忙しなく毎日を過ごす私たちをそっと包んでくれる空間の誕生だ。

text/miho sasaki、photo/kawakami shu remy

restaurant information


ソソンジェ素饍齋 ソソンジェ

住所:東京都港区麻布十番1-8-12 ウエステル麻布十番3・4F
Tel:03-5545-6691
営業時間:11:30〜15:00/18:00〜23:30 ※要予約
定休日:不定休

東京メトロ南北線・都営地下鉄南北線麻布十番駅より、
麻布十番商店街を六本木ヒルズ方面に向かう。
豆菓子の老舗『豆源本店』隣りのビル3F。