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すべての文化の発信地は東京である、という幻想から解き放たれたのか、はたまた地方が本来の底力を発揮するようになったのか、近年のレストラン業界は『地方ルネッサンス』と叫ばれるほど元気である。地元で採れた食材を使用し、地元で消費する“地産地消”という至極当たりまえの食文化の考え方なのだが、トレンドやステータスばかりを追いかけてきた我々にとっては、それすら新鮮に映るのだろう。

前菜「昆布〆した天然ダイとフルーツトマト いろんな山菜のサラダ キャビアとフキのとうの風味」春の芽吹きを一皿に盛り込んで。山菜のほろ苦さ、繊細で淡白な風味のタイ、フルーツトマトのジュレの甘みなどが混在して、お互いの美味しさを引き立てあっている(ある日のおまかせコース¥7,875より)

イルギオットーネすべての文化の発信地は東京である、という幻想から解き放たれたのか、はたまた地方が本来の底力を発揮するようになったのか、近年のレストラン業界は『地方ルネッサンス』と叫ばれるほど元気である。地元で採れた食材を使用し、地元で消費する“地産地消”という至極当たりまえの食文化の考え方なのだが、トレンドやステータスばかりを追いかけてきた我々にとっては、それすら新鮮に映るのだろう。

「クラロッテを巻いたホワイトアスパラ ハーブとんの炭火焼きタリアータ サバイオーネとグリーンアスパラを散らして」レシピのベースは、なんとカルボナーラ! アレンジ力の幅広さを見せつけられた一品。春の風物詩、ホワイトアスパラを高級生ハムであるクラロッテで巻いて  

笹島シェフが得意とすることは、京都のおばんさいの概念である“出会いもん”を取り入れた一皿。これは、美味しい素材の組み合わせ方のこと。単に味覚的な相性だけではなく、油分のない素材に油分を補うというようにちゃんとした理屈があってこその相性だ。その理屈をベースにイタリアンにアレンジするのだ。

イルギオットーネ重要なのは、想定できるが想定外の味であること。レストランなのだから、アイディアと技術でお客様にサプライズを与えなくてはならないと氏は語る。ディナーにメニューがない理由もそれゆえ。その日仕入れた四季折々の素材をお客様のリクエストに合わせて、いかに美味しく仕上げるかがプロとして腕の見せ所なのだという。だから目の前に供される一皿の背景にも、緻密で奥深いワザが盛り込まれている。野菜に昆布だしをスプレーで拭きかけて旨み成分をプラスしてからスチームしたり、豚のローストの隠し味がとんこつスープだったり…。氏が一流料理人として走り続けている理由がわかるアイディアが満載だ。

パスタ「菜の花と生ウニのアーリオオーリオ 木の芽の香り」ウニのマイルドな甘みの中にあるコクと菜の花のほのかな苦みのコントラストが美味しい。時折、口の中に広がる木の芽の香りが絶品かつ新鮮! デザート「イチゴとリコッタチーズのドルチェ」 いちごと水で作ったシンプルなスープに、リコッタチーズのムースを浮かべて。さっぱり感が、しっかり食事をした後のデザートに最適

イルギオットーネ「デイリーに使用するお店ではありませんからね。頑張って暮らしている人たちが、たまの贅沢に訪れたいな、というお店であればいいと思うんです。だから予約する際には、好みや要望など思う存分リクエストしてください」。料理はさることながら、笹島シェフのお人柄にも魅了される一軒であることをお約束する。

text/miho sasaki、photo/shu remy kawakami

(写真左)笹島保弘シェフ:18歳から関西のイタリアン料理店数軒で修行を重ねる。24歳で大阪・箕輪の『ラトゥール』の料理長に。1990年イタリアで研修を受ける。京都・宝ヶ池の『ラヴィータ』の料理長、京都・東山の『イルパッパラルド』の料理長を経て、2002年に「京都発信のイタリアン」を目指して京都・東山に『イル ギオットーネ』をオープンさせる。テレビ、雑誌等のメディアでも活躍中。主な著書に『イタリアン精進レシピ』(本願寺出版)、『ハイブリッド・アンティパスト』(柴田書店)などがある

restaurant information


イルギオットーネイル ギオットーネ 丸の内 

住所:東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルTOKIA 1F
Tel:03-5220-2006
営業時間: 11:30〜14:00/18:00〜22:00 ※要予約
定休日:不定休

JR東京駅丸の内南口より徒歩1分。予約に関しての注意事項はHPを参照のこと。また、昨夏オープンした日本橋三越にある軽食&テイクアウト専門店『イルギオットーネ クチネリーア』も本格リストランテの味を手軽に楽しめると人気。