松延, しょうえん
日本最大の峡谷として名高い黒部峡谷の「黒部ダム」に通じるアルペンライン沿い、鹿島槍ヶ岳や爺ヶ岳の雪解け水が流れ込んだ清らかな鹿島川のほとりに位置する信州・大町温泉。ここは、春の大山桜、夏は川遊び、秋は三段紅葉、冬はスキーと、恵まれた自然環境を活かした四季折々の“楽しみ方”が叶う場所であり、身も心もときほぐす“ぬくもり”に出会える場所でもあった。



(写真上)到着時に目に入ってくる竈からはどこか懐かしい焚き火の香り。「かまどでウェルカム」という採れたての野菜を蒸かしたりお米を炊いたりと季節に応じたサービスがある

一歩足を踏み入れると、そこにあるのは昔懐かしい日本の原風景

清らかな空気と水が流れるのどかな里山の一角、温泉街のメインストリートの最奥に「仁科の宿 松延」は静かに佇んでいる。かがり火が焚かれた黒門をくぐると、目の前には軒下にぶら下がった干し柿、左手のゆるやかな傾斜を上ると広々とした土間が見える。土間には竈が備えられ、そばに幾十も積み上げられた薪も用意されている。この竈は単なるお飾りではなく、しっかり現役として活躍している「松延」の頼もしいスタッフのようなもの。毎日、客人のための米を炊いたり、野菜を蒸かしたりと勢いよく湯気を立たせて頑張っているのだ。昔懐かしい田舎ならではの息吹がそのままとどまっているかのような光景に、訪れた誰もがきっと緊張したその表情をゆるめてしまうだろう。

松延, しょうえん

玄関の引き戸を開けて中に踏み入ると、奇をてらうことなく日本の美をしとやかに現したロビーがお出迎え。大きく取られた窓ガラスの向こうに四季の移ろいを伝える中庭が配され、全体を凛とした空気が包み込む。一瞬、解かれた緊張が込み上げてきそうになるが、すぐにスタッフのにこやかな笑顔と親しみに満ちた声が掛かり、再び肩の力がフッと抜けて思わず「ただいま」と言いそうになってしまう。そう、ここは飾らない信州を伝える宿。自然の安らぎと人の温かさに触れることで、素の自分に返れる場所なのだ。

松延, しょうえん

随所に散りばめられた心躍るような演出ともてなし

「松延」は“もてなし上手”な宿としても有名。それは、ここならではの楽しみを存分に満喫していってほしいという想いから生まれたアイディアだ。それも「良かったら楽しんでいって」という、決して押し付けではない距離感が心地よい。例えば、露天風呂に用意された地酒と本(濡れてもOK)。客人は、湯浴みをしながら読書したり、キリリと冷えた冷酒を好きなだけ楽しめる。また、冬には中庭に積もった雪でこしらえた “かまくら”のカフェも出現し、都会では決して味わうことのできない、冬の醍醐味をアルコールや温かい飲み物などをいただきながら満喫させてくれるのだ。

さらに、毎週金・土の夜には土間で餅つきが行われ、つきたてのやわらかいお餅を振舞ってくれるというサービスも! こういった素朴だけれど人のぬくもりがしっかりと伝わってくるような“もてなし”に心ひかれ、リピーターとなる人も少なくない。

松延, しょうえん

信州大町温泉 仁科の宿 松延

長野県大町市平2884-26
Tel:0261-22-3177
部屋数:28室
料金:スタンダード ¥16,000〜(1泊2食付 1室2名 お一人様料金)
   特別室 ¥22,000〜