bvlgari_obento
旬の素材を大切にする食文化は日本だけと思いがちだが、お隣の国韓国でもこの思想は浸透している。懐かしく、安心感を覚える食事というものは、世界共通であり、どんなに時代がハイテクに移り変わったとしても普遍的なものであるという証かもしれない。 そして、それが近年の食のトレンドである「オーガニック」「スローフード」「ロハス」へとつながっているのだ。

(写真上)チムとはいろいろな食材を煮込んだもの。カルビはもちろん、大根やにんじんにもしっかりと味がしみこんで、ごはんが進む。スパイシーでボリューミィな一品「骨付きカルビチム(黒米ごはん、サラダ、スープ付き)」¥2,000

エンプティーガーデンとりわけ韓国は儒教の影響か、日本以上に古くから伝わる伝統や風習、年中行事を大切にするお国柄。食に関しても、「走りを愉しむ、旬をいただく、なごりを味わう」考え方が浸透している。ゆっくりとした時の流れの中で、四季折々の野菜をふんだんに盛り込んだ料理を通じて、自然の恵みとありがたさを感じる。そんな思想と素材を存分に生かした“真の韓国料理”が楽しめるのが銀座にオープンした『empty garden gallery restaurant』だ。韓国自然料理研究家として国内外で活躍する、林 祉鎬(イム・ジホ)氏が監修した摘草料理をベースとした料理の数々は、心と体にやさしいものばかり。料理の要となる塩は、アジアで初めてイタリアのスローフード協会から認定された韓国天然塩を使用し、韓国料理の代表的調味料であるコチュジャンも本国から10年熟成ものを直輸入するほどのこだわりだ。

(右写真)“薬膳料理の王様”として珍重される烏骨鶏を、栗、なつめ、にんにく、高麗人参、ねぎなどといっしょに24時間煮込み、骨までトロトロに。体の芯からポカポカになる、この時季にうれしい逸品をランチタイム限定でリーズナブルに楽しめる「サムゲタン(ごはん付き)」¥1,800

エンプティーガーデン摘草料理といっても、質素なイメージとはひと味違う。メイン料理の前には、韓国料理おなじみのキムチやナムルなど多彩な小皿がたっぷりと提供され、滋養の意味でも味わいの意味でも満足度は高い。野菜や肉をバランスよく食べられるので、食生活が乱れがちな人にほど訪れて欲しい一軒だ。

(写真左)ほたるいかの塩辛、白菜キムチ、たたみイワシ、イワシの炒め物、チナムル(山菜)の和え物、カクテキなど、韓国料理ならではの嬉しい小皿たちが揃う。ランチには日替わりで嬉しい6皿付き

また、このお店が他の韓国料理店と一線を画すのが、ギャラリーを併設していること。李朝時代の歴史的な作品から、本国で活躍する現代アーティストの作品まで、さまざまなジャンルの国内外の芸術を楽しむことができるのだ。

エンプティーガーデン韓国の伝統的な美意識と現代芸術を食文化空間に表現したギャラリーレストランは、今までありそうでなかった空間。ギャラリーが多く存在する銀座界隈でも、個性的で新鮮なスポットとして話題を集めている。 “食”と“芸術”、人の暮らしを豊かにし、潤してくれる2つの文化の融合と競演の場は、忙しい現代人にとって新たな癒しの空間になること請け合いだ。アートで心の栄養を、ナチュラルな韓国料理で体に栄養を与えれば、豊かな感性が培えそうだ。1度で2度楽しめるギャラリーレストランの誕生を喜びたい。

(右写真)韓国南岸に生息し、冬にしか採れない海藻を練りこんだ手打ち素麺をイワシだしのあっさりスープで。本場韓国でもなかなかお目にかかれない一品「メセンイ・カルクックス(韓国のりのおにぎり付き)」¥1,500 

text/miho sasaki、photo/shu remy kawakami

restaurant information


エンプティーガーデンエンプティ・ガーデン ギャラリーレストラン

※こちらのレストランは2009年5月に閉店となりました。