《シラ―谷の者、野の者》(部分) 墨、胡粉、金箔、雲肌麻紙 182.0x1632.0cm 2009 撮影:宮島径 (c) KONOIKE Tomoko Courtesy: Mizuma Art Gallery

現在国内外から高い注目を集めるアーティスト・鴻池朋子。彼女の初の包括的な個展「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」が、7月18日(土)より東京オペラシティアートギャラリーにて開催される。

脚が6本の狼、赤いスニーカーを履いた子どもの脚、白い毛に覆われた顔のない「みみお」、自らの意志で空間を自在に飛翔するナイフなど、神話を想起させる象徴的なモチーフがくり返し現われる作品は、鴻池の独特な表現世界を築き上げてきた。

今回の展覧会のキーワードとなる「インタートラベラー」とは、本展のために鴻池が生み出した造語で、異なる世界を相互に往還し、境界をまたぐ人を指す。 展覧会を見る行為を地中への旅にした本展では、観客自身が「インタートラベラー」となり、想像力を駆使して「地球の中心」への旅を経験/体感する。

4章立ての巨大な絵画「物語シリーズ」や人間と野生とのかかわりを神話的アプローチで描いた新作の襖絵など、鴻池の代表作がほぼ全て持込まれ、会場が一つの地球の内部として構成されている。制作年代順でも素材別でもモチーフ別でもなく、地球の中心に対する「深度」に従って章立てされており、クライマックスとなる地球の中心では巨大な赤ん坊のサウンドインスタレーション《Earth Baby》が待ち受けている。

本展は、私たちが持つ根源的な能力を今一度自力で日常のなかに見つけ出すため、作品を有効な道具に、展覧会を「遊び」の装置にする試みだ。会場を出て、非日常から日常へと帰還する「インタートラベラー」となる私たちに、どのような作用が働くのだろうか。ぜひ、体感してみてほしい。

■「鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人会期:2009年7月18日(土)〜9月27日(日) 会場:東京オペラシティアートギャラリー 開館時間:11:00〜19:00(金・土は20:00まで/最終入場は閉館30分前まで) 休館日:月曜日(ただし祝日は開館)、8月2日(日)(全館休館日) 入場料:一般 ¥1,000、大学・高校生 ¥800、中学・小学生 ¥600 *同時開催「収蔵品展030 開館10周年記念 響きあう庭」(4F ギャラリー3・4)、「project N 38 山下美幸」展(4Fコリドール)の入場料を含む。 お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel:03-5353-0756