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新旧が混在している街、中目黒。この街と、この街の桜に魅了された中村孝之氏が、2004年3月に開いた「パリアッチョ」。山手通りを入ったところにある、無機質なコンクリートの建物の2階。扉を開けると、外観とは一変して、洗練と温もりのある空間がそこに広がっている。

(トップ写真)「細魚の一本づくし」。一匹の細魚(さより)の皮を焼き、骨と頭は素揚げ、半身は刺身、残りの半身はアスパラ巻き、と技法を変えて、頭から尾までを様々な食感で楽しませる一品。

オーナーであり、シェフでもある中村氏が、イタリア・スペイン・東京での修行期間を経て開いたこの店には、「楽しくおいしく食べる」、イタリアンでもスパニッシュでもない「僕の料理」がある。コミュニケーションを重視した店内。キッチンの前にある大きな木製のカウンターには、ゆるやかなカーブが入っていて、複数でカウンターに座っても会話ができる形に作られている。また、木製の扉、レードルが組み合わされたオリジナルのランプ。様々なエッセンスが、笑い声が伝染するような温かい空間をつくりあげている。

パリアッチョ

(写真)左:カウンターに並ぶグラッパは、おじいさんが、蒸留から手描きのラベル制作まで全て一人で手掛けている「ロマノ・レヴィ」。なんと、中村氏がイタリアでの修行中、友人の隣の家に住んでいたことがきっかけで出会ったとか。グラッパはグラス1,500円より。中央:カウンターの目の前に、堂々と置かれたイタリア製のエスプレッソマシン。外見だけでなく、もちろん味も楽しめます。右:オーナーでありシェフでもある中村孝之氏。料理の話だけでなく、海外生活の話、映画の話……と聞いていて飽きることなく楽しい話題が続く。ぜひ、話しかけて、食事と会話を楽しんで!

メニューには、枠に捉われない「僕の料理」の通り、個性豊かな料理が並ぶ。この日のおすすめメニューにあったのは「大葉のニョケッティ 赤グレープフルーツとセロリのソース」。「ニョッキ」と言うと、ついクリームベースを想像してしまうが、「さっぱりと食べられるように」大葉を練りこんで、かつ酸味のあるグレープフルーツのソースを合わせることで、名前だけでは想像させない、わくわくするような料理に仕立てている。

毎月来店する常連客も多く、中には一人でふらりと訪れる女性もいるとか。一人でおいしく食事を楽しみたい時、誰か大切な人と楽しみたい時。そんな時に、ぜひ予約をして、その時が近づくのを心待ちにしたいレストラン、である。

photo / yosuke omura text / satoko kuzushima

restaurant information


パリアッチョ レストラン パリアッチョ

住所:東京都目黒区上目黒
Tel:03−5722−3977
営業時間:11:30−14:00 18:30−22:00(ディナーはコース4,800円より)
定休日:日曜