一生三宅
1988年5月13日。ニューヨークで開かれた『イサム・ノグチ』展の会場で、イサム・ノグチ、安藤忠雄、三宅一生の3人が会し、「日本にもデザインの発信基地ができれば……」と、話が弾んだ。この時の会話がきっかけとなり、昨年3月30日にオープンした「21_21 DESIGN SIGHT」。

記念すべき一周年目は、三宅一生が初の総合ディレクションを手掛ける『XXI c. ― 21世紀人』展でスタートを切る。

三宅一生

かつて未来と呼ばれた21世紀。現実となり、そして日常となったこの時代に生きる私たちは、いまたくさんの問題とともに暮らしている。グローバル化、高度情報化によって、私たちは欲求に素直なアクションをとれるようになった。しかしその一方で、地球環境問題、エネルギー問題、少子・高齢化など自分1人ではどうしようもできない問題が、ぼんやりとしてではなく、リアルに目の前に立ちはだかっている。

あの頃の自分は“21世紀”という言葉の響きに、どれだけ心躍らされたことだろう。日々ライフスタイルが進化するなかで、見えてしまった21世紀の潮流。逃れられない問題がこれから先に待ち受けている私たちに、ディレクターの三宅一生はさまざまなリサーチを行い、想像力を働かせた。そして、21世紀を生きる私たちに、これからの人と地球を考える機会を用意した。

(写真左:上から)nendo『キャベツ・チェア』、藤原大+イッセイ ミヤケ クリエイティブルーム『ザ・ウィンド』

『XXI c. ― 21世紀人』構想において、三宅は3人の作品をスタート地点とした。イサム・ノグチが北京滞在中に描いた墨絵のドローイング『スタンディング・ヌード・ユース』、ティム・ホーキンソンによる今にも浮き出そうな迫力の絵画『ドラゴン』、そして、三宅一生が「星の王子さま」に登場する“ウワバミ”を思い出したという、眼光鋭く輝く照明器具『ピザコブラ』である。次の時代へと視線を向けた生命力に溢れる3つの作品。さらに誰もが感じている疑問や課題に向き合いながら新しい表現に取り組んでいる国内外の作家作品を加え、会場を訪れた人たちと一緒に考え、最後には希望を感じられる、祝祭のような展覧会を作り上げた。空高く飛翔するような、内に秘めたパワーが感じられる作品の数々。メタファーとして機能するするこれらの作品は、これからのものづくりや暮らしについて考えるひとつのきっかけとなり、これから私たちが歩む道に温かい明かりを灯してくれる。

三宅一生

「『21世紀人』の遺伝子の中には、20世紀から受け継いだ創造する因子や感覚といったものも含まれているはずです。だからこそ良質なDNAが『21世紀人』の血肉に蓄えられ、夢は現実に、現実はさらなる夢を生み出していく奇跡がこの地球上で起こってほしい、と思っています」と三宅一生は語る。 (写真右:左から)イサム・ノグチ『スタンディング・ヌード・ユース』、ティム・ホーキンソン『ドラゴン』

『XXI c. ― 21世紀人』で三宅は、安藤が設計した21_21を器にイサム・ノグチの作品を配した。20世紀、20年前に3人が集ったあの原点ですでに、21世紀に向ける温かいまなざしがそそがれていたことだろう。

(photo:Masaya Yoshimura / Nacása & Partners Inc.)

三宅一生

第3回企画展 三宅一生ディレクション「XXI c. ― 21世紀人」

会期:2008年3月30日(日)〜7月6日(日)
開館時間:11:00〜20:00(入場は19:30まで)
休日:火曜日(但し、4月29日と5月1日の火曜日は開館)
場所:21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)
港区赤坂9-7-6 Tel:03-3475-2121
料金:大人 ¥1,000、大学・専門学生 ¥800、中高 ¥500、小学生以下無料
(15名以上の団体は各料金から200円引き