和ペリティーヴォなDNA
市場の人混みの中を歩きながら黒人の街にいることに今頃、気がつくのも何ともまぬけな話である。西アフリカの小国「ブルキナファソ」に辿り着いたのは2日前だったはずだ。(写真上)市場の活気は世界共通だが、黒人だけが集う市場を散歩するのは初体験

和ペリティーヴォなDNA の間に黒人の街だということを認識しているはずなのに、この2日間、アフリカの大地の色ばかりが先に目に飛び込み、肌の色をほとんど意識していなかったのである。


「ブルキナファソ」は日本には馴染みの薄い国である。元フランスの植民地だったこの国の人々は公用語としてフランス語を使い、現地人同士はモシ語を話す。この季節、日中は気温40度以上になる過酷な国でもある。内陸部にあるこの国では魚が獲れる海もなければ、資源が発掘されるような山もない。観光資源になるような名所があるわけでもない。よって、この国には観光客も、ほとんど見かけない。しかし、その分、観光客目当てで、どこかすれてしまったような人もいないし、旅行会社のシールを胸に貼った日本人のツアー客もいない。

話を元に戻そう。3日目の朝、僕が宿泊しているゲストハウスのお手伝いのサンドリンとその愛娘デニッサに連れられ市場に向かった。狭い敷地内に溢れるブルキナベ(ブルキナファソの人々を総称してこう呼ぶ)の中に入り、初めて肌の色が与える印象を目の当たりにした。

(写真左)子供が子守をするのがこの国では当たり前で、小学生にもなると赤ちゃんをおんぶしながら遊んでいる姿もよく見られる

インドの市場が喧騒に圧倒されたとすれば、こちらは黒一色という肌の色に圧倒されたのである。黄色人種の中で育ち、白人の多い街しか旅をしてこなかった僕からすれば、一つ間違えば恐怖に変わったかもしれない。

和ペリティーヴォなDNAしかし、ブルキナベの人のよさやこの街の治安のよさは、この2日間で身体に染み込んでいたのだろう。迫力に驚きはしたものの、逆に彼らの黒い肌の美しさと強さに改めて気づかされたのである。

そして、この肌の色を作り出す彼らのDNAには僕らが持っていないリズム感や躍動感も刻み込まれている。結局、僕は、彼らのDNAに魅了され、癒され、本来、1週間で1都市を滞在するセカイサンポのリズムまで狂わされ、3週間も滞在してしまった。

(写真右)舗装されている道もあるが、まだまだ舗装されていない赤土の道の方が多い
イシコ

イシコ

1968年生まれ。ホワイトマン代表
大学卒業後、女性ファッション誌編集長、Webマガジン編集長を経て、期間限定のホワイトマンプロジェクトでは白塗りで様々なコンテンツを生み出す。現在は「セカイサンポ」と称し、文字通り世界を散歩中。散歩の達人の連載コラムなどコラムニストやブロガーとしても活躍している。

イシコのセカイサンポ
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