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カジュアルとエレガンス、程よいモード感が柔らかく調和した女性らしいフォルムのニット。マニッシュだけれど、とんがりすぎないシャープなスーツ。どんな服でも過剰にしないというポリシーのもと、“シンプルかつ洗練された大人のエレガンス”をコンセプトに展開しているブランド、KINO。

20〜30代のキャリアを積み重ねていく大人の世代をターゲットに、デザイナーの石川智恵が生み出すスタイルは、ひとりひとりの女性の美を最大限に引き出すための粋なアイディアに満ちている。アクセントとなるポケットやリボン、大胆な肌見せを演出してくれるカッティング、身近だが意外なモチーフの数々。程よいキュートさに魅了されてしまう。

「まず、言葉が浮かび、そこからテーマが決まる。その次に作品のイメージがわいてくる」と言うように、言葉は石川にとって大切なインスピレーションの源。

KINO毎シーズン、哲学的かつ詩的な一遍のとともにユニークなテーマが打ち出されるのもそのせいだ。例えば、2005年の秋冬は、「Cycle Circle」。5回目の東コレ参加にあたり、再度KINOを見つめ直すという意味を込めて、原点に戻りまた一から出発していく“循環”を表現した。

「とにかく、誰かに着てもらうのが嬉しい」と言うだけあり、着たときに完成する美しいシルエットと着心地が自慢だ。

特に完成度の高いニットには定評があり、パリのセレクトショップ、コレットが関心を寄せ、“フレンチ・ヴォーグ”にも掲載されるなど、業界内での評価も高い。そんなKINOを生み出す石川の夢は「コレクションで人を泣かせる」こととか。

ブランド名は、石川のミューズでもある知人の女性の名前にちなんでつけられた。ドイツ語で映画という意味も持つが、映画好きのデザイナーとの不思議な縁を感じさせる。 「いつかは映画の衣装も手がけてみたい」とも。実用的でありながら、どこかファンタジーも感じさせる彼女の服がそう遠いことではないのかもしれない。

text / jun makiguchi

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KINOKINO

info@ kino-inc.com

デザイナー、石川智恵は、ジャストビギ、 INDIVI などを経て、 1999 年に独立。2003 年から東京コレクションに参加