和ペリティーボな「気」を味わえる場所
単なる風景写真の羅列である。「ここは、ドミニカ共和国ですよ」と言われても信じてしまいそうな程、際立った特徴も面白みもない。しかし、ここには今回、お話する「気」という目に見えないものが詰まっている。イシコは「気」に関して、特別、詳しいわけでもない。 ただ、新年を迎えると「気」の流れのいい場所に自分を置き、いい年にしたいなどと鼻息を荒くしてしまうのである。

友人達に和ペリティーヴォな気が流れていそうな場所はどこだろうとイメージで答えてもらうと、「沖縄」という答えが一番、多かった。確かに時間の流れ方からして、和ペリティーヴォな香りが漂ってきそうである。
実際、「ゆるゆる」と飲み、おしゃべりをして、「和ペリティーヴォ」な時間を過ごすことは、沖縄では、「ゆんたく」という似たスタイルで存在している。約束した訳でもないのに、どこからともなく人が集り、飲みながら「ゆるゆる」と話すのである。

4930df17写真の話に戻そう。

これは沖縄の様々なグスク(城)の写真である。和ペリティーヴォな沖縄の中でも、特にいい気が流れているのは「グスク」ではないかと思っている。沖縄には日本の城の中で、最も観光客が訪れる「首里城」があるが、イシコの言う「グスク」はちょいとばかし違う。「城跡」なのである。

風水などで言われる「気の流れ」のいい場所に城は建てられたのだろうから、当たり前なのかもしれないが、とにかく「グスク」にしばらく居ると不思議に自分が心地いい感じになってくるのを自覚できる。気のせいと言われるかもしれないが、まさにその「気」が大切なのである。

4930df17沖縄の海と風を味わいたければ、270度、海が見渡せる“勝連城”、沖縄の太陽を存分に味わいたければ“中城”、沖縄らしい木々を味わいたければ“知念城”など、その場所ごとに様々な心地よさの味わい方ができるのもグスクの魅力である。そして、「首里城」のように人で溢れかえっていないことも心地よさの一つである。語り合うのも大切だが、グスクのような場所で、ボーッとして、「和ペリティーヴォ」な気を味わうことも自分を心地よい状態にする一つだと思う。

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LIFESTYLE_column20041110 イシコ

1968年生まれ。ホワイトマン代表
大学卒業後、女性ファッション誌編集長、Webマガジン編集長を経て、期間限定のホワイトマンプロジェクトでは白塗りで様々なコンテンツを生み出す。現在は「セカイサンポ」と称し、文字通り世界を散歩中。散歩の達人の連載コラムなどコラムニストやブロガーとしても活躍している。

イシコのセカイサンポ
著書/『世界一周ひとりメシ』(幻冬舎文庫)