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ミクソロジストという言葉を聴いたことがあるだろうか。mix(混ぜる)+logy(学)+ist(専門家)、つまり“ミックス学を行う人”を意味する造語。バーテンダーの中でも、フルーツやハーブなどフレッシュな素材を使ったカクテルを得意とする人のこと。 味の濃さ、甘さなど、同じ種類でもそれぞれが違った個性をもつ自然素材を扱う知識と技術を持った人たちを指す。もともとイギリスで誕生した言葉だが、今や世界に広がりつつある。そして日本にも、そんなミクソロジストのいるバーがある。

(写真上):ラズベリーとローズマリーのフローズンカクテル(\\1,800)は、シャーベット状にしたウォッカのうえに、ラズベリーピューレを乗せて。火で炙って香りを立たせたローズマリーがアクセントに。

RAGE南青山に続き、今年3月、銀座に進出した「BAR RAGE」。もちろん、季節の新鮮な果物とハーブを組み合わせたオリジナルのカクテルが自慢だ。店に入るとまず、カウンターサイドに並べられた宝石のように光輝くフルーツに目を奪われる。席につくと、すぐにリフレッシュのためのハーブティーとカットフルーツが登場。「お客様との会話を大切にしたい」と、ドリンクのメニューは置いていないので、その間に、その日入荷している旬のおすすめ果物などについて説明し、好みを聞きながら、一人ひとりに合ったドリンクを決めていく。

(写真右):ミクソロジストの一守邦泰さん。BAR RAGEのスタッフは全員がミクソロジスト。その手にかかると、フレッシュフルーツはフレッシュなカクテルに生まれ変わる。5階のカウンターなら、目の前でその過程を楽しむことが出来る。ハーブやアルコールの量を調整することも可能なので、あらかじめ自分の好みはしっかり伝えておきたい。

フルーツカクテルを注文すると、その基礎となる果物のピューレがその場で作られるため、オーダーのたびに店内にはみずみずしいフルーツの香りがぱっと広がっていく。なんとも心地よい瞬間だ。

ミクソロジストの一守邦泰さんは、「人が何かを味わうとき、まず視覚から入り、香り、そして味を楽しむ。それが一連の喜び。そのすべてを存分に味わっていただけるよう、最大限に気を使います」と話す。そのためには、素材を火で炙り香りを強めたり、あらかじめハーブで香りづけしたシロップを加えたり、生のハーブでアクセントを出したりと、丁寧な工夫を欠かさない。その甲斐あって、果物を知り尽くしたスタッフたちにより生み出されるフレッシュなカクテルは、ひとくち、口に含んだだけで季節を味わう贅沢を実感させてくれるのだ。基本は、マティーニスタイル、ロングスタイル、フローズンスタイルの3種。今なら、爽やかなラズベリーとローズマリーのフローズンカクテル(1,800円)や、グリルド・パッションフルーツのマティーニ(1,900円)がおすすめ。これからの季節は、桃やチェリー、巨峰などがおいしくいただけるという。

RAGEまた嬉しいことに、ここではフルーツがおかわり自由。店にあるものなら、何度でも種類を変えて好みのものをリクエストできる。会社が無店舗の果物卸売り部門を持っているからこそ可能になったサービスだが、美味しい季節の味を心ゆくまで楽しんで欲しいという思いがあったからこそ生まれたもの。 「昔は、夜お酒を飲むというとカットフルーツはおつまみの定番でした。でも、今は注文する人は少ない。だから、夜の街に、何か新しい形で果物を復活させたいと思っているんです」(一守さん)

フードも好評で、お酒を飲んだ後にさらさらと、お茶漬け感覚で食べられる和風の昆布だしカレー(1,300円)、宮崎県産牛肉のビーフシチュー(2,300円)など本格的な料理も用意されている。9月にはシェフが入り、よりメニューが充実することのことなので、こちらも楽しみだ。 夜、お酒を飲むことが健康に良くないというのは、昔の話。フルーツと一緒にお酒を味わったら、ノンアルコールの生ジュースで締めるというヘルシーな飲み方も「BAR RAGE」なら可能に。夜の銀座で季節のフルーツを存分に味わうという健康的な贅沢を、ぜひ一度試してみてはいかだろうか。

text/june makiguchi, photo/chikahito nagai

bar information


RAGEBAR RAGE銀座店

住所:東京都中央区銀座8-5-24 銀座BOSSビル4F・5F(ソニー通り沿い)
Tel:03-5568-1968
営業時間:月〜金 18:00〜翌朝5:00 (土曜は18:00〜24:00)
定休日:日曜・祝日(貸切の場合のみ応相談)

BAR RAGE青山店
東京都港区南青山7-13-13 BULLS 3F
Tel:03-5467-3977
営業時間:月〜金 18:00〜翌朝5:00(日曜・祝日は2:00まで)
定休日:年中無休

(写真上): カウンターには、新鮮な季節のフルーツが並ぶ。その中から、カクテルにしたいフルーツを選ぶ。もちろん、そのままいただくこともできる。
(写真下):カウンターのある5階とはひと味違った雰囲気の4階。英国風の落ち着いたインテリアの中、ゆっくりウィスキーを飲みたい。チャージ(\1,000)あり。