日本ではまだ馴染み薄いが、イタリアには大人だけが堪能できる食後の楽しみがある。それは“ドルチェとエスプレッソ”という組み合わせと並ぶ定番、ディジェスティーヴォ（伊語で消化を助けるもの、の意）＝食後酒をゆっくり味わうこと。白と赤を貴重としたシンプルかつ洗練されたインテリアが心地よいManiは、そんなイタリア流“after”が堪能できるリストランテだ。

Maniのお薦めは、デザートワイン。イタリアでは定番ともいえるカントッチーニ（アーモンド入りビスコッティ）を浸しながら味わうヴィンサント。蜂蜜のように芳醇な甘さを誇るボルドー産貴腐ワイン、ソーテルヌ。琥珀色が美しいヴィンテージのポルト、シナモンやナツメグといったスパイスの効いたホットワインなど、欧州各地から集められた甘く魅惑的な香りを放つワインが揃う。また、リモンチェッロ、バジルのお酒といった自家製リキュールにグラッパなど、イタリアを代表するディジェスティーヴォも、もちろん用意されている。

シェフおすすめのコース（4,000円）で、Mani流本格イタリアンに舌鼓を打った後に1杯…というのなら完璧だろう。だが、もっと気軽にというのなら、仕事がらみの会合の後に一人のんびり、もしくは気の合う仲間とゆっくりディジェスティーヴォを、というのもいい。

さらには、パーティの後、どこかで軽く美味しいパスタとワインだけ味わって帰りたい、久々に会った友達ともう少しワイングラスを傾けながら近況を語り合いたい、デートの後で彼ともう少し一緒にいたい、そんなときにもManiなら味方になってくれそうだ。

ディジェスティーヴォを楽しめるだけでなく、閉店時間を気にせず、美味しい 料理や薫り高いワイン、軽い食事も味わえて、ドルチェとエスプレッソだけでも 肩身が狭くなく、女性一人でも入りやすい。こんなお店は、とても貴重な存在。カウンター10席、テラスに4席のみというこぢんまりとした店なので、訪れる場合は席の確保のため事前の電話を忘れずに。

text / jun makiguchi　photo / pawel jaszczuk