music_main
お酒は好きなほうで良く飲む。最近良く行くのは立ち飲み屋。立ち飲み屋はいい。カウンターがあって勿論椅子もテーブルもない。普通テーブルに座るとどうしても かしこまったりしてしまうものだが、立ち飲み屋ではすぐ隣に立っているので非常に 親近感もわく。

時には肩がぶつかったり靴を踏んでしまったり、耳もとで内緒話したり、 その距離感がいいのだ。 お酒が入るといつの間にかさらに距離も縮まる。 そのせいか、たまたま隣で飲んでる知らない人といつの間にか喋っている事もある。

僕が良く行くお店はお酒の種類も豊富だしつまみも美味しい。 いつも飲むのは焼酎。中でも芋が一番好き。 気取りのまったくないラフな感じでワイワイガヤガヤ、おいしいつまみと焼酎があれば 何もいらない・・・ん?一つ足りないものがあった。そう、音楽。

いや、このお店音楽が無い訳ではない。気が付けば結構大きな音で音楽は存在している。 たぶん有線かなにかで中途半端などうでもいい選曲である。 だからちっとも耳に入ってこない。もったいない。ここまでいいお店なのに……。 逆に言えば音楽がいらないくらいいいお店とも言えるのだが、音楽も良ければ確実に もっといいお店なのだ。

その時、飲んでいた焼酎にどんな音楽が合うか考えてみた。 頭の中で鳴り始めたのはとびっきりのラバーズロック。 まろやかな芋焼酎の香りとほろ酔いの頭にカッ、カッと響くか乾いたリムの音と重いベース。 うん、マッド教授のあの芸術的なワンパターンの音だ。UKのレコードレーベルARIWA作品の 数有る名作の中でもサンドラ・クロスの「カントリー・ライフ」がいい。 このアルバムもそうとう古いけれど時代を感じさせないタイムレスな名作と言えるだろう。

サンドラ・クロス

先に触れたがこのアルバムはマッド教授=マッド・プロフェッサーのプロデュース作品である。この人の音って何年経ってもずっと殆ど同じ。だから逆に時代を感じないのかも。 ひたすら気持ち良いシンプルな愛すべき時代を超越したワンパターン。 随分前にUKのARIWAのスタジオで一緒にレコーディングした経験があるが、マッド教授もお酒大好きな超ピースな人だった。 さすがに芋焼酎ではなかったが手土産にお酒買って行った覚えがある。

いつか焼酎をラバーズロックで割ってくれる日が来る事を祈って、あの立ち飲み屋に通い続けようと思う。

Shimoda

下田法晴/ Michiharu Shimoda

1967 年生まれ。 SILENT POETS /サイレント・ポエツ、グラフィック・デザイナー
1991 年に美大で出会ったメンバーと SILENT POETS を結成。 今までに通算 6 枚のオリジナル・アルバムと 7 枚のリミックス・アルバムなどをリリースし、海外からも高い評価を受ける。現在は DJ Yellow を共同プロデューサーに迎えた次回作を制作中。
その他、 ISSEY MIYAKE のパリ・コレクションの音楽やUA のプロデュースや平井堅のリミックス、またグラフィック・デザイナーとしても活躍している。

RUSH !  PRODUCTION 公式ホームページ