アートとデザインの遺伝子を組み替える
遺伝子組み換え作物の是非を問う議論が交わされるようになって久しい。ともすればデリケートなこの問題をここで取り扱う気はないが、私たちの身体や世界が環境、政治を含めてより複雑で深刻な状況に直面する中で、この科学技術が生き延びていくための切実な手段の一つであることは否めないはずだ。

アートとデザインの遺伝子を組み替える

時代の変化に応じて私たちの生き方も変わる。すると、人間による表現においてもやはり変化が起こる。多分野の情報を広く共有できるようになった今、新しきものを求めるクリエイティブな作家たちは、一つのヴィジョンをもとに、領域を横断し、手段や方法を自在に操りながら表現を行うようになったのだ。

東京都現代美術館で開催中の展覧会「SPACE FOR YOUR FUTURE - アートとデザインの遺伝子を組み替える」には、ファッション、建築、グラフィック・デザイン、プロダクト・デザイン、映像、そしてアートといった様々なジャンルにわたる13カ国、34アーティスト/クリエイターの作品が集結した。

(写真左):Hussein Chalayan 《LEDドレス(光る水のドレス:エアボーン・コレクション/2007年秋冬より)》 2007年 Courtesy of Swarovski

ファッションの分野では、機械仕掛けや液晶ディスプレイのドレスなど衝撃的な服を発表し続けるフセイン・チャラヤンの最新作<レーザードレス>が登場(12月半ばより展示予定)。

アートとデザインの遺伝子を組み替える

建築では、石上純也による<四角いふうせん>が現代美術館の高さ19メートルのアトリウムに浮遊している。また、デザイナーや映像ディレクターとして活躍するタナカノリユキは沢尻エリカの百変化写真によって人間の認知行動を問い直す。

(写真右):タナカノリユキ 《Portrait of ERIKA Sawajiri》 2007年

タイトルにある「SPACE」とは、単なる物理的な空間でなく、身体とその外部を入れ子状に含んだ、一つの「環境」としてのスペースを意味している。それは私たちの身体であり、その身体感覚を変容させる空間であり、記憶や情報といった概念領域であり、喩えとしての場所である。この展覧会では、ジャンルを横断した作品を分類するにあたり、スペースの種類を切り口にしている。

アートとデザインの遺伝子を組み替える

私たちの未来における、身体そして環境のあり方とは?  今回の展覧会をきっかけに、前向きに、柔軟に考えてみたい。

(写真左):SANAA  《Flower House》2007年 photo ©SANAA

アートとデザインの遺伝子を組み替える

「SPACE FOR YOUR FUTURE - アートとデザインの遺伝子を組み替える」展

会期:2007年10月27日(土)〜2008年1月20日(日)
月休 ※12/24、1/14は開館、但し12/25、1/15は休館。
年末年始12/28〜1/4は休館。
時間:10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
会場:東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1 Tel 03-5777-8600(ハローダイヤル)
料金:一般 ¥1,300、学生 ¥1,100、中高校生・65歳以上 ¥600、小学生以下 無料