コンセプチュアルなアイデアを実験的なヴィジュアル精神で紐解く2人の作品は様々なジャンルから注目を浴びており、これまでにシャネル・ジュエリーやベルンハルト・ウィルヘルム、ストックホルム・モダン・ミュージアム、コレット・パリなど様々なクライアントと一緒に仕事をしてきた。そんな彼らの日本初となる展覧会が大阪で開催されている。

今回の展覧会は、graf media gm（※）内の小屋型ギャラリーをメイン会場に、これまで制作してきた作品に加え、本展に合わせて日本で滞在制作した新作も展示している。Tシャツや缶バッジといったアンドレアス+フレデリーカのオリジナルグッズ販売も行う。 彼らの非常に多彩で豊かなヴィジュアルの世界が生まれる背景やプロセスを見る事ができる希少な機会だ。

※graf: decorativemode no.3 design inc.は「暮らしのための構造」を考えてものづくりをするクリエイティブユニット。 今回の展覧会の会場にもなっているgraf media gm statementは、ギャラリースペースとワークスペース、graf独自の観点でセレクトされたショップスペースやライブラリーなどを併設した『場としてのメディア』である。

（写真上）graf作の小屋型ギャラリーとその周辺が展示スペース （写真左下）会場の壁には色とりどりの毛糸で作られたアートワークが （写真右下）ダンボールの中にスライド写真を投影。小屋の壁紙には野菜がスタンプされている

会期中の12月2、3日には本展のワークショップが行われた。その内容は、アンドレアス+フレデリーカと一緒にメモリーカードをつくるというもので、参加者は各々grafビルの周辺を散策し、記憶に結びつくモチーフを選びスケッチ、その後色画用紙を素材にイメージを表現していく。

普段ならデジカメとマウスとキーボードで行う作業を鉛筆とはさみとのりで行うことに最初は戸惑いながらも、徐々に慣れ、脳裏には懐かしい感覚と新しい発想が浮かび上がってくる。 図画工作時間終了後は、全員分のカードを複写して床に並べての「神経衰弱」ゲーム。他者の描くイメージ、それに対して自らが抱くイメージ。これらを掛け合わせることで自分以外の想像世界を共有することができる。

（写真左）ワークショップの模様。参加者全員作業に夢中 （写真右）ワークショップ後の「神経衰弱」ゲーム

アンドレアスとフレデリーカは共にスウェーデン、ゴッテンブルグの大学HDK（Hogskolan for Design och Konsthantverk）で5年間学んだ後、渡仏。パリの美術学校ESAG（Ecole Superieure d'Arts Graphiques et d'Architecture d'Interieure）で半年間、さらにグラフィックデザインへの造詣を深めた。実は恋人同士だという2人。仕事上の役割分担はなく、沢山の時間を一緒に過ごす中でお互いがアイディアを出し合うとのこと。

2人の来日はこれで2回目。一年半前に滞在した東京も、今回訪れた大阪も、お気に入りの都市だとか。ワークショップの作品を見ても「どれも個性が現れていて素晴らしい」と語る。「それぞれにそれぞれの良さがある」。この言葉を体現するアンドレアス+フレデリーカの作品は、多くの発見をもたらしてくれるだろう。

photo / Photo by Jenny Källman © Andreas och Fredrika and Jenny Källman（main photo）、Fumi

(写真)インタビューに応じてくれたAndreas（左）とFredrika（右）