ビル・ヴィオラ
沈黙する水中風景に突如、轟音、そして閃光と共に人間が出現した。 人間はゆっくりと、神秘的な無重力空間に食い込んでいく。無限の宇宙と有限な肉体の境界が曖昧になる。光と闇、時間と永遠、生と死…物理的感覚が揺らぐ中、只々漂流する―――。

ビル・ヴィオラ 世界のヴィデオ・アートを牽引し続けるビル・ヴィオラの世界。その全貌を体感できる回顧展が開催されている。 ヴィオラが取り上げるのは、命、誕生、死、再生、感情といった人間の根源に関わるテーマ。 こういった局面で人間が見せる微細な表情を捉え、その映像を極々スローで再生し、幻想的に映し出した作品が代表的である。

(写真右上) 《ミレニアムの5天使》(部分)「昇天する天使」 2001年 ヴィデオ・サウンド・インスタレーション

ビル・ヴィオラ

ヴィオラは1980年代に1年半の間、日本に滞在し、禅思想や能などの伝統芸術に親しんだ。「日本文化に触れて、伝統というものの意味を理解しました。それはただ古いということではなく、昔からあるものを今のものにしているということ。まさにプレイバックのシステムであり、非常にラディカルな現代のものなのだと。さらに日本に来て、自分が“外人”とされるマイノリティになったことは、アメリカ白人である私にとって稀有な体験でした」と彼は語る。ヴィオラ作品に、静謐さや深きに内在する力強さといった日本色が濃く感じ取れることにも納得できる。

「初夢」とは、古来日本において、新しい年を迎え初めて見る大切なものとされてきた。ビル・ヴィオラが最新のテクノロジーを駆使して繰り広げる、壮大な夢を覗いてみてはいかがだろう。

(写真左) 《グリーティング/あいさつ》(制作用スチル) 1995年 ヴィデオ・サウンド・インスタレーション (写真右下) 《クロッシング》 1996年 ヴィデオ・サウンド・インスタレーション <写真全て> photo : Kira Perov

ビル・ヴィオラ

「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」展

会期:2006年10月14日(土)〜2007年1月8日(月・祝)
時間:10:00-22:00 | 火 10:00-17:00 | いずれも入館時間は閉館時間の30分前まで
※1月2日(火)は開館時間を22:00まで延長
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
料金:一般 ¥1,500、学生(高校生・大学生)¥1,000、子供(4歳以上-中学生)¥500