実験空間展
世界に現存する最後の象形文字が、文様として錆染めされている。意図的な処理を行わない限り、布は錆びないと、我々は認識している。ましてや、錆は鉄が酸化して朽ちるもしくは枯れるというネガティヴな在り方であり、それが最終的な姿として存在するとは、またもや大胆な表現である。

アーティストの菊池学(きくち まなぶ)は、その徹底的な大胆さを華麗にも表現する。

今回、展示されている作品は33点。 トンパ文字研究者の先駆者で、アートディレクターとしても名高い浅葉克己に5つのトンパ文字のデザインを依頼し実現した。

実験空間展

5種類のトンパ文字は、各々に意味があり、あえて奇数にこだわる訳は、「割り切れない」数を意味する。 それは、武士道の生き方という道徳的な考え方にも精通する。

軸装、掛け軸にした際、海と山に日が昇る時人は無限に踊りだすという表現を考慮した美しさにも反映する。 33点の作品は、絹に錆染したシルクスクリーン手法の絹錆染め額装、軸装、錆をキャンバスに塗りつけたパティングという表現方法から構成されている。

実験空間展

2000年10月に開催されたモーリの色彩空間 Part.4 “ SABI” 展に出展した「世紀をしきる錆色の布」から 5年、合成の色を一切排除した色彩すべてが自然の成り行きのあかつきに誕生した、「錆染」。 人類が地球に誕生したのは、惑星の生誕に比較したらほんの数時間でしかない。

lab (実験空間展)は、この大きな時間の流れに逆らわずに、長い間大地に眠っていたメッセージを、過去の記憶や記録を頼りに、現在に呼び起こす行為を、あらゆる可能性に迫りながら、模索している。 (text by kaoru URATA)

art画像無し

菊池学 [lab](実験空間展) 浅葉克己のトンパ文字を錆染する。

会場:AKI-EX / EX・LOUNGE (アキエックス/イーエックスラウンジ)
会期:2005年5月28日(土)〜2005年6月28日(火) 7月末まで延長展示いたします。
開場:13:00〜18:30(日・祝休) 入場料:無料  企画 / 主催:AKI-EX お問い合わせ tel 03-3499-4254