地球を生きる子どもたち
日本のフォト・ジャーナリズムは、危機に瀕していると言われている。もちろん、素晴らしいフォト・ジャーナリストは存在するけども、それらの写真を発表する場所(メディア)が減ってきているのが現状だ。写真の誕生からすでに160年、1世紀半の過去の歴史を振り返りながら、子どもをテーマに、200余名の写真家たちが撮影した写真259点を展示した写真展『地球を生きる子どもたち』が、現在Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中されている。

地球を生きる子どもたち

写真は見るひとが、想像力を働かせることによって、たった、一枚の写真の中にある「真実」を読み解く力を与えてくれる。「写真」がもつ、メッセージの衝撃の力強さに、打ちのめされ、そしてフォト・ジャーナリズムの魅力を再認識させられた。

会場は、10のカテゴリーに沿って順序だてて見られるようになっていて、それは壮大な地球のストーリーとともに写真の歴史を旅する感覚だ。

(写真上)生まれたばかりの赤ん坊を取り囲む難民の子どもたち 長倉洋海 1982年 エルサルバトル ©長倉洋海

地球を生きる子どもたち

19世紀のプロローグから始まり、日中戦争、第一次世界大戦、スペイン内戦、そして第二次世界大戦での「犠牲」へと続く。 またパレスチナ問題、ベトナム戦争、アフリカ飢餓、チェルノブイリ原発事故、旧ユーゴ紛争、イラク戦争、そして最近では2004年9月に起きたロシアでの学校占拠テロ事件など、世界のあちこちで大人のエゴイズムの犠牲となった子どもの姿が写しだされる。

(写真右)戦争の恐怖 フィン・コン・ウト(AP)1972年6月8日 ベトナム チャンパン近郊 ©AP/WWP

運命だというにはあまりにも残酷な写真もあり、写真のなかに引きずりこまれるかのように、胸がしめつけられ、そして涙が溢れ出しそうになってしまう。染まりやすく、壊れやすいナイーブな子どもたちの生は大人たちが守らなければ、たやすく傷ついてしまう。

地球を生きる子どもたち

世界中からこれほど多くの著名な写真家の作品を堪能できるのも、今までに例がないくらいの規模だから、ぜひこの機会に足を運んでみてほしい。 現実を直視する勇気をもつことも必要です。

(写真左)「さっちん」より 荒木経惟 1963年 東京 ©荒木経惟

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「地球を生きる子どもたち」

会場:Bunkamura ザ・ミュージアム 渋谷・東急本店横
会期:2005年3月21日(月・祝)まで開催中 [会期中無休]
開館時間:10:00〜19:00(入館は18:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
入館料:一般 ¥1000(¥900)/大・高校生 ¥800(¥700)/中・小学生 ¥500(¥400) ※( )内は団体料金