市川孝典の個展「Vintage Brown」
ぜひ観ておいたほうがいいアーティストがいる。現代の傾奇者、市川孝典(いちかわこうすけ)だ。海外を遍歴し、音楽活動、サクラダファミリアでの石運び(!)ほかさまざまな「体験」を経て、現在は日本・東京を拠点に線香で紙を焼き焦がして絵を描いている。



遠目で見ると白地に茶一色で写実的に描いた、経年を感じさせる絵画。ところが近づいてみると、そのヴィンテージブラウンが焦げとそれによる穴でできていることに気づく。彼の手法は、60種類の線香を原料の草の違いから焦げ方で使い分け、火を灯した一本の線香を絵筆に、焦がし現していく。

市川孝典の個展「Vintage Brown」

某著名人らが作品を気に入って買っているといった話題、また彼自身の時に奇抜な装いに一見されるイメージとは裏腹に、祈りにも似た綿密なその作業。静かにその作品に対峙すると、そこには彼の非凡なる体験、まさに自らの唯一の体をもって試み、ひとつひとつ確かめてきたことの積み重ねからくる奥深さが感じられる。市川孝典独特の世界をぜひこの機会にご堪能あれ。

市川孝典 個展 Vintage Brown 会期:6月17日(水)〜6月30日(火) 会場:PLSMIS(プラマイ) 港区南青山4-17-4 1F 03-6459-2251 関連イベント: *6月23日(火)20:30〜2stage "魅惑のムードバンド" BLACK VELVETS ライヴ  料金:予約¥2,500、当日¥3,000(+order) *6月30日(火)20:30〜 その場線香画:市川孝典 クロージング朗読合戦   料金:予約¥1,000、当日¥1,500(+order) 物語の紡ぎ手、いしいしんじ(作家)が即興で小説を書きながら読む「その場小説」。戌井昭人(作家/鉄割アルバトロスケット主宰)の弾き語りポエトリーリーディング。市川の兄貴分、作家2人の朗読合戦をふたたび!