ヴェネチア国際現代アートビエンナーレ
Michelangelo Pistoletto Seventeen Less One2008Photo: Ueno NorihiroCourtesy Galleria Continua, San Gimignano / Beijing / Le Moulin

今年も、いよいよ第53回ヴェネチア国際現代アートビエンナーレが開幕した。 タイトルは、イタリア語でFare Mondi(世界を創造する)と、不景気を払拭し、リセットをするような行為の響きだ。 総合キュレーションを指揮するのは、ビエンナーレ開催以来の若手で、40代のDaniel Birnbaum(ダニエル・ビーンバウム)である。アーティストの立場を主張することで信頼を寄せられ、現在まで世界レベルの展示会のキュレーションを手がけるかたわら、アート誌面にも執筆を寄せ、フランクフルトの国際アカデミーで教鞭をとる学長も務めてきた経験の持ち主だ。 3月のプレスカンファレンスで、「Fare Mondiは、様々な言語に訳されることであろうが、どれ一つとしてぴったりと同じ響きをするものはないだろう。これは、アートの表現に置き換えても同様であろう。」と国境なき時代といえども、いまだに文化やしきたりの相違から生じる言語の解釈の違いを意味した。グローバリゼーションの結果、金融業界がゆらいだ昨今の経済状況を指摘しながらも、未来へ導くための指針を示そうとするビエンナーレに注目したい。

(text by kaoru URATA)