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日差しが強くなるこの季節に、おしゃれのエッセンスとして欠かせないファッション・アイテム、サングラス。そして、アイウェア界の最高峰ブランドといえば、アラン ミクリ。1978年、メガネの常識を覆し、世界中をあっと驚かせるアイウェアを発表して以来、審美性と実用性、デザインと機能を見事に調和させたメガネづくりで、人々を魅了する。

アランミクリ そのコンセプトは、“見るための、見られるためのメガネ”。実用品と思われがちだった眼鏡を、ファッション・アイテムへと昇華させ、世界中のセレブリティたちからも圧倒的な支持を獲得し続けている。

(上):メガネ、サングラス合わせて36型が初回発表分として、10パターンの模様で展開されている。(下):日本で、3月からスタートしたコレクション、PACT。“noir double jeu a deux/二重の黒:二人で遊ぶ” という詩的な名前がつけられた模様を採用したサングラス。¥42,000(モデルNO:A0462-05)。

そんなアラン ミクリの数あるフレームの中から、 verita 編集部が特におすすめするのが、日本で 2005 年春に発表された PACT 。これはなんと、日本の黒にインスパイアされて生まれた、アランミクリの独立したコレクション。欧州にはない、日本人の髪や瞳の色である漆黒がベースになっており、濃淡によってさまざまな表情を見せるこの黒が、 PACT のデザインに大きな影響を与えたという。

その漆黒に、より豊かな表情を演出するためにと組合わされたのが、黒とは正反対の特徴を持つクリスタル。透明部分から透ける肌の色が、サングラスの模様としっくりなじみ、世界に一つだけの色と表情、そして至極の愛着を生み出すというわけだ。

アランミクリこれを実現させたのは、アランが20年かかって到達した特別な手法。アセテート素材を、何枚も重ね合わせてひとつの大きな塊にし、そこからサングラスの形をくりぬくという極めて贅沢な方法だ。だが、それによってのみ誕生する、黒×クリスタルの立体的な模様が、動きによってさまざまな光を作り出してくれるのである。

PACTは、アランが好んで使う、コットンを70%含んだ唯一の植物性プラスティック素材、アセテートへのオマージュにもなっている。つまり、ひとつのアートを可能にする、マテリアルとクリエイターとの幸せな出会い、融合を象徴しているコレクションとも言えるだろう。

(左): “noir imaginaire/色を選ぶ”

text / june makiguchi

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アランミクリアラン ミクリ alain mikli

ショップのデザインを担当するフィリップ・スタルクをはじめ、他のアーティストとの交流も多いクリエイター、アラン・ミクリ。クロード・モンタナ、ダナ・キャラン、ジル・サンダーのアイウェアも手がけてきた。映画での登場も多く、ヴィム・ベンダースの『世界の果てまで』や ディズニーの『101 Dalmatians』などにも、メガネを提供。最近では、『バットマン ビギンズ』で、 Dr. ジョナサン・クレイン役 の キリアン・マーフィーが着用。中田英寿、木村拓哉など、日本の著名人にもファンが多い