不都合な真実
小さい頃、真冬はすっごい寒かった。最高気温4度とか5度っていう日も記憶にあるし、雪だってもっと降っていた。真冬の真っ只中、近所のいじめっ子に突き飛ばされてハマったバケツには、氷が張っていた。でもイマドキの東京では、真冬でも氷が張ってるのなんて見たことがない。

もうそろそろ年末だって言うのに、近所の公園じゃ今でも紅葉が楽しめたりしている。私が子供の頃は半ソデ短パンで越冬する小学生とか見るとすっげー気合だな〜と思ったものだが、最近じゃちょっとがんばれば私とかでもいけそうである。しないけど。要するに地球温暖化である。

映画『不都合な真実』は、そーゆー現象を地球規模で例を挙げて教えてくれるドキュメンタリーだ。異常気象とか大干ばつとか、台風の巨大化とか、全部地球温暖化のせいなんだよ〜とまあいろいろ言ってるのだが、一番分かりやすくビックリしたのは氷河の定点観測だ。例えば「数年前のグリーンランドの氷河」と「今年の同じ場所」を、使用前と使用後みたいに見せるのだが、氷河は消えて牧草地とか岩場になっているのだ。そのショックは、そう、偶然見つけてしまった十数年前の証明写真みたいな感じである。「地球温暖化はヤバいけど、まあ、いますぐどうこうってワケじゃなし」みたいな感じで、口では「もう35歳すぎだけど、そんな歳には見えないって言われるのよね〜」なんていう人も、かつての写真と今の写真を比べてみれば一目瞭然だ。肌にハリがない。疲れると目の下がブヨブヨたるむ。目尻に消えないシワがある。シミはファンデーションでもカバーできていない。

不都合な真実このままでは取り返しがつかなくなる! とハタと気付いたアナタは、翌日には美容液を買いにデパートのコスメ売り場に走るだろう。インターネットでレーザーシミ取りもチェックするに違いない。そりゃあ生きていくためには身体を酷使することもあるし、老いだって止めることはできない。でも早く気付いて早く対処すれば、すこしは違うかも。その通りだと思う。やっても無駄って思ったらオシマイである。お肌も。地球も。

(text / Shiho Atsumi )
不都合な真実

『不都合な真実』

監督:デイビス・グッゲンハイム
製作:ローリー・デイヴィッド、ローレンス・ベンダー、スコット・Z・バーンズ
出演:アル・ゴア
配給:UIP映画
劇場情報:2007年1月20日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー