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The Birthdayの『あの娘のスーツケース』を聴くと、主人公の女の子のビジュアルが頭にくっきり浮かび上がる。初めて聴いた時に「この曲、歌いたい!」って思った。チバユウスケ君の詞はロックだ。言葉の使い方がロックだ。

彼の詞には歌詞として見たことのない言葉が並ぶ。そして、その言葉がとても効果的。僕のニューアルバム『F’s シネマ』で、The Birthdayとコラボレーションをしたのだけれど、彼らに書いてもらった曲のタイトルが「カラスの冷めたスープ」。これもタイトルからして、ロックだよね。歌詞も「で、少し驚く」とか、ポップスの世界には無い言葉の使い方。そういうロックな感覚をうらやましく思う。何故かフォークからニューミュージックへと変容していった時代、アルバムでいうと『氷の世界』のころの井上陽水さんを思い起こさせる。革新的な感覚を僕に与えてくれる。

藤井フミヤ,チバユウスケ,The Birthday

今回「カラスの冷めたスープ」で、初めてThe Birthdayの曲を歌った。普段、自分が歌っている曲とは感覚が違い、ちょっと難しかった。ビートが全部裏打ちで、ギターを弾きながら歌う人の曲だと実感した。彼らもこの曲は気に入っていて、次の自分たちのアルバムに入れるかもしれない、と言っている。僕のアルバムでも彼らが演奏してくれているので、どんなアレンジに変わり、チバ君のボーカルが入ると同じ曲がどのように変わるのか、楽しみにしている。

The Birthdayは車の中で聴くのがいい。それも爆音で。彼らの音の疾走感にはスピードを上げた車がピッタリだと思う。

(text / Fumiya Fujii)

藤井フミヤ,チバユウスケ,The Birthday

藤井フミヤ,チバユウスケ,The Birthday
昨年10月、キャリア26年目のスタートとして、槇原敬之、奥田民生、財津和夫など様々なアーティストとのコラボアルバム『F’s KITCHEN』を発表。コラボを通して見えた「シンガー=藤井フミヤ」の無限の可能性をさらに昇華させるコラボ企画第2弾アルバム。斉藤和義、奥田民生、The Birthday、石野卓球、HISASHI&TAKURO(GLAY)など多彩なアーティストとのコラボを展開。12組のアーティストとの12編の映画の主題歌のような華麗なアルバムが完成した。

藤井フミヤ『F's シネマ』 初回生産限定盤【CD+DVD】 AICL-2046〜AICL-2047 ¥3,500 通常盤【CD】 AICL-2048 ¥3,059 発売元:Sony Music Associated Records

藤井フミヤ,チバユウスケ,The Birthday

藤井フミヤ/Fumiya Fujii

1962年生まれ、福岡県出身。1983年チェッカーズのヴォーカリストとしてデビュー。1993年「TRUE LOVE」でソロデビュー、200万枚を超すセールスを記録。自身の音楽活動に加え、他アーティストへの楽曲提供、ドラマ出演、アートなど、枠にとらわれない多方面での活動を展開。2008年、デビュー25周年ソロ15周年を迎え、ソロキャリアを集大成したアニバーサリーベスト『15/25』を発表。26年目に入った10月には、初のコラボアルバム『F's KITCHEN』をリリース。年末には10年連続の歴史を作った武道館カウントダウンライブを行うなど、精力的に活動を続けている。