マイケル・ムーア,キャピタリズム
『ボウリング・フォー・コロンバイン』『華氏911』などで知られる映画監督のマイケル・ムーアが、新作『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』のPRのために、ファン待望の初来日を果たした。すでに、veritaの“cinema”でも紹介されているこの作品。

アメリカの資本主義、拝金主義を痛烈に批判し、ウォール街を向こうに回したムーア監督が、相変わらずのアポ無し取材とウィットに富んだ語り口調で、現代社会の闇に鋭く斬り込んでいる。

11月30日には、日本経済の中心となっている東京証券取引所で行われた記者会見に出席。 「まず、この場所で初めて映画の記者会見をするのが私だということは知りませんでしたので、大変光栄に思います。正直言って、NYの証券取引所では入ることすら許されていません(笑)。作品のおもしろい裏話として、NYの証券取引所の周りで犯罪現場の黄色いテープを巻いているシーンがあるのですが、その撮影中にとうとう逮捕されてしまうのではないかと実は結構怖かったのです。すると、案の定警官が側にやってきたので、ついに逮捕されてしまうのだと覚悟していたのですが、“すぐ撮影が終わるので待って下さい”とお願いしたところ、“好きなだけ撮影してもらって構いません。なぜならこの建物の中にいる連中はNY警官の年金を10億ドル分くすねたんです”と言われたということもありました」と告白。

マイケル・ムーア,キャピタリズム

これまでも、自らの本や映画の中で、日本に対しては尊敬の念を表してきた監督だが、来日の感想については、接する人々がとても温かいと好印象を持ったとも教えてくれた。

その日の夜には、ジャパンプレミアで舞台挨拶も行い、翌日はメディアへの個別取材対応に追われた監督。今回、忙しい中で行われたインタビュー取材には、当初の予定より2時間以上も遅れて登場。インタビュールームに入るなり、「お待たせして申し訳ありません」と謝る一幕も。 「今日、とてもお待たせしてしまったことを心からお詫びします。実は、朝早くから起きていたのに、取材を始める時間が遅れてしまいました。その理由は、オバマ大統領が、アメリカ時間の今晩、アフガンへの派兵拡大についての演説をするためです。私はずっと彼を支援してきましたが、今回、初めて彼の政策を批判し、抗議することとなりました。派兵増加については、以前よりこれだけはやめてほしいとのお願いをしていたんですが、それが実現せずこのような事態に至ってしまいました。今は東京にいて思うような活動ができませんが、できるだけのことはしたいと、電話で取材を受けたり、各方面とメールのやりとりをしたりしていたため、時間がどんどん遅くなってしまったんです。多くの市民に対して、ホワイトハウスにメールや電話をして、今回の決断を覆して欲しいと伝えようという運動を先頭をきってやってきただけに、東京でやれることは限られているものの、できるだけのことはしたいと思ったんです」

少し憔悴した様子だったが、取材がスタートすると、限られた時間の中でも、ひとつひとつの質問にしっかりと向き合い、真剣に答えてくれたムーア監督。そのインタビューの様子は、12月11日、cinemacafe.netにて全文掲載予定なので、気になる方はぜひチェックを!

(interview, text / June Makiguchi)

『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』 原題:Capitalism: A Love Story 監督:マイケル・ムーア 出演:マイケル・ムーア 劇場情報:2009年12月5日(土)よりTOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 梅田にて限定公開。2010年1月9日(土)より 全国拡大ロードショー 配給:ショウゲート ©2009 Paramount Vantage, a division of Paramount Pictures Corporation and Overture Films, LLC