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2010年1月17日〜20日の期間中、香港ファッションウィーク&ワールドブティック香港が開催された。現地はもとよりアジア各地域や中東、ヨーロッパなどから 約23ヶ国、2000社が集まって大規模な展示商談会やファッションショーがあれば、来場者も約20,000人以上と年明け早々注目されるイベントとなった。

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展示スペースの風景。会場となったのは、香港コンペンション&エキシビションセンター。

ショーではブライダル、イブニングが目立ったが、他にチャイナドレスを現代風にアレンジしたものや台湾のコンテンポラリー・ファッション、東京からはtokyoeyeやCFDのデザイナーなども多数参加。とはいえ、現地の香港貿易発展局主席のVincent Fang氏が「これからはワールドブティックのヤングゾーンを拡大したい」というように、次世代の若者の創造力が特にパワフルだったように思う。まるで『プロジェクトランウェイ』さながら!?の香港ヤングデザイナーファッションコンテストでは、フリーデザイナー、学生含め合計16名がバトルを繰り広げた。最優秀を受賞したCheng Yee Wah Evaは、香港の伝統的なペーパーカッティングの手法をモダンにアレンジしていて、東洋だけではなくヨーロッパの感性も併せ持っている。「もっと海外に行って勉強したい。そしてゆくゆくは自分のブランドを創るのが夢」と、将来に向けて真面目に語る姿が印象的だった。他のヤングデザイナーも含めまだ荒削りなところはあるものの、何がインで何がアウトか……そんな時代のムードみたいなものを本能的にうまくセレクトしているように見えた。

(写真一番上)最優秀賞には2万香港ドルの賞金とともに、パリのRue du Mailで1ヶ月間インターンシップのチャンスが与えられた。審査員は海外から参加したMartine Sitbon、他に『VOGUE china』編集長のAngelica Cheung、JOYCEのMichael Mok(敬称略)など。“Casual+jeans-wear group”でトップに立ったNg kei Kei Angelaの作品は、うち5体がJOYCEのショーウィンドーを飾ることになった。

また、今回のイベントのハイライトとして国内外のマスコミの注目も高かったのが、香港ファッションエキストラヴァガンザ。香港、中国、韓国、日本から各1名ずつ登場したのは、いずれも実績豊富な人気デザイナーたち。日本からはKEITA MARUYAMAがJFWでも発表した2011S/Sコレクションを再現した。ガーリーでファンタジーいっぱいのテキスタイルが特徴の韓国のDoii Leeは、セント・マーティン出身でジョン・ガリアーノとアントニオ・マラス(KENZO)の元でキャリアをスタート。ミニマルにひねりを効かせたクールなデザインとドレスが中心の中国のAlex Wang、クラシカルなクチュールを提案する香港のBarney Chengは共にモード誌の露出も多く、アジアのセレブリティに支持されているブランドだ。

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KEITA MARUYAMAのショーフィナーレ。現地には冨永愛や山田優も駆けつけ、ショーに華を添えた。ケイタさんは翌日の合同インタビューで中国、香港のトレンドやファッションについてどう思うか?との問いに「色んな人種がミックスし、新しい方法論を生み出していくことは、その国の発展にとってとてもいいことだと思う。香港ファッションウィークでは以前審査員をしたこともあるが、新しい部分とまだ古い部分が混在しているように思った」とコメントしている。

香港ファッションの発展には目覚ましいものがあった。とはいえ、2008年の金融危機以降、アメリカやヨーロッパと同様、アジアのアパレルも依然厳しい状況であることは否めない。いずれにせよ、今後は高い品質とデザインの向上にさらに努め、さらに大きなマーケットになることを期待したい。

近藤陽子/ファッションエディター&スタイリスト