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パリ市中心、パレ・ロワイヤルの駅で下車すると、一つの出入り口に、ガラス玉をビーズのようにつないだアーケードがある。伝統的なギマールの作風から一新されたときは、パリジャンたちも眉をひそめていたが、今では景色に溶け込んでいる。 作者は、Jean-Michel Othoniel(ジャン・ミッシェル・オト二エル)だ。

現在、25年間の制作活動を垣間見る回顧展が、ポンピドゥー・センターで開催されている。展示会名は、フランク・シナトラの名曲から引用した「My Way」。自分なり、自己流に制作を続けてきた道程を意味するのだろう。会場は、年代を追って、写真や各種素材を表現媒体として使用してきた彼の作風を紹介する構成になっている。

80年代後半用いた硫黄は、フランス語で「Soufre」で、苦しむことを「Souffrir」という。言葉のあやと、硫黄の奇抜な黄色と強烈な臭いから、精神的な意味も込めている。また、現在に至るガラスの作品は、吹き職人が欠陥品として処分する塊から、あえて損じたガラスや傷のあるものに影響を受けている。ふさがった傷口を思わせる造形は、もはやエロティックである。

■My Way展
会期:開催中~2011年5月23日迄
会場:パリ ポンピドゥー・センター
子供を対象にしたインスタレーション 同館にて 8月22日迄

Le Bateau de larmes, 2004
Verre de Murano, metal, bois - 345 x 535 x 215 cm
Fondation Louis Vuitton pour la creation, Paris
Vue de l’exposition ≪ Dialogues mediterraneens ≫,
Musee de l’Annonciade, Saint-Tropez, France, 2007
©Jean-Michel Othoniel
Courtesy Galerie Perrotin, Paris


(取材・文 Kaoru URATA)