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長いこと、「イギリスの食事はまずい」とされてきた。とりわけ、フランス人の感覚からすると、「こんな味音痴はいない」とでも言わんばかりの態度であったが、どうやら、ドーバー海峡の向こうの様子が変わってきたらしい。

パリのブックフェアで見つけた一冊『LONDON MENU』は、フランス人建築家女性Celine Brisset(セリーヌ・ブリセ)が書き下ろした内容で、客観的な観点も多く、地図や情報もガイドブックとしても活用できる。写真も全て彼女が撮影していて、まるごと一冊フランス人女性が見たロンドンである。いささか、ロンドン行きを懸念していた人も、ユーロスターに即座に乗車してしまいたい気持ちになる。

タクシーの運転手が常連という、19世紀から存在するCabmen’s Shelterは道端の緑色の小屋で、“かりかりベーコンのサンドウィッチ”2ポンドのために列ができる。ティムの誕生日に待ち合わせたレストランFinoのシェフはバスク地方出身の女性。多国籍が集まるロンドンには、異国情緒が、スパイスの数ほどに点在する。Borough  Marketの活気に元気づけられる。もちろん、アフターヌーンティーもお忘れなく。

3月17日に刊行されたばかりなので、フランス語版のみだが、英語や他言語に訳されていくことを願う。

『LONDON MENU』

(取材・文 Kaoru URATA)