111215goude_main
昨今、生前から知名度のある方の展示会に「回顧展」という表現をする。なんとなく亡くなった人のように感じられるので、あまり好まないが、40年間、芸術をあらゆる角度から考察しつづけ、 時代を捉えてきたJean-Paul Goude(ジャン・ポール・グード)には敬服する。フランスを代表する現役のイラストレーター、写真家、グラフィックデザイナー、広告映像の監督で、マルチアーティストの一人であるグードは、ファッション、写真、映像、広告、舞台演出と多岐に渡る分野に関与し、広告業界やプレスでも斬新な表現方法をしてきた。

写真:(左)セルフポートレート © Jean-Paul GOUDE (右)モデルのレティシア・キャスタを男性にさせたL’Homme ギャラリー・ラファイエット2003年の広告 © Jean-Paul GOUDE

1989年のフランス革命200周年記念祭で、政府から依頼を受けたシャンゼリゼ通りでの大パレードは、鮮烈に記憶に残っている。その時に制作された、機関車や回転式ダンサーの操作なども今展で鑑賞可能だ。共和制にメッセージの意味を置いたパレードで、一挙に庶民からも注目された。ソプラノ歌手ジェシー・ノーマンが、コンコルド広場でフランス国旗を身にまとい大衆の前で「ラ・マルセイエーズ」を熱唱したことも、歴史に残る瞬間であった。

シャネルやゲランの香水、コダック、炭酸飲料水ペリエ、ストッキングのディムの広告はテレビや街角の広告塔でも目にとまり、デパートのギャラリー・ラファイエットの広告は、メトロの利用者には欠かせないビジュアルとなった。時代を捉え、その一歩先をたえず挑発するグードの世界に触れられる展示会である。

GOUDEMALION展
2012年3月18日迄

(取材・文 Kaoru URATA)